【BreakingDown】はなぜバズる? 仕掛け人が明かす「格闘技」と「エンタメ」の絶妙なバランス

格闘家の朝倉未来がスペシャルアドバイザーを務める、1分間最強を決める格闘技イベント「BreakingDown5」が17日に開催される。昨年7月に初めて開催されたBreakinDown1から1年。回を追うごとに注目度が増しているが、ENCOUNTでは代表取締役社長を務めるYUGO氏にインタビュー。大会の展望、将来のビジョンを聞いた。

BreakingDownの代表取締役社長を務めるYUGO氏【写真:ENCOUNT編集部】
BreakingDownの代表取締役社長を務めるYUGO氏【写真:ENCOUNT編集部】

求めているのは“強さ”と“ストーリー性”を兼ね備えた人材

 格闘家の朝倉未来がスペシャルアドバイザーを務める、1分間最強を決める格闘技イベント「BreakingDown5」が17日に開催される。昨年7月に初めて開催されたBreakinDown1から1年。回を追うごとに注目度が増しているが、ENCOUNTでは代表取締役社長を務めるYUGO氏にインタビュー。大会の展望、将来のビジョンを聞いた。(聞き手=角野敬介)

 ◇ ◇ ◇

――まずオーディション(6月4日に開催)の感想から聞かせてください。

「参加者の思いをぶつけられっぱなしで……。ヤラセが一切ないので、突発して何かが起こるかもわからないという緊張感もあって、シンプルに疲れますよね(笑)」

――参加者同士の乱闘があったり、予定時間を大幅に超えて白熱しました。

「ただ派手にぶつかればいいんじゃなくて、もっとストーリーを聞かしてもらいたいなというのは正直なところあります。。なぜ参加したのか、今回出場することで自分の何を変えたいのか、そういうことをきちんと聞ける仕組みを作らなきゃいけないとは思います」

――今大会は全部で何試合を予定していますか。

「前回と同じくらいの試合数(12試合)に女子が2、3試合増えて、14、15試合くらいになるのではないでしょうか」

――今回から女子大会も行われます。どんな大会になることを期待していますか。

「BreakingDownのそもそもコンセプトは、“ストーリー性”と“強さ”。この両軸なんですよ。ただ、ストーリーだけでもバズる。それが顕著だったのが井原くん(BreakingDown4に出場しインパクトを残した井原涼)だったと思う。ただやはり一番求めているのはどちらも兼ね備えている人材ですね。強くてストーリー性もある。そういう人が出てきてほしい」

――前回大会を見ても、オーディションの参加者がバズる状態が続いています。

「それ自体は一種の成功事例。バズるっていうことは、色々な意味で人々の需要に刺さったってことじゃないですか。前回で言うとこめおさんと井原くんかな。大会としてもこうした例が増えていければいいなとは思いますね」

――明確に名前を売りたいという参加者も増えています。

「そうですね。ただ、こめおさんも、井原くんにしても、きっかけをつかんだだけでそこからは自分の努力。BreakingDownに出る以上はしっかり強さと、今後どうなっていくんだろうという人間ドラマでどこまで興味をひきつけられるかが重要になってきます。今回は一般参加側ではなくてゲスト側で出場していますが、試合で勝てないと周りから言われるようになります。『お前なんで弱いのに、そっち側にいるんだよ』って。それが当たり前なんですよね。

 一方で負けても絵になる人物もいる。彼らがその弱さを逆に強みにしていけるかもしれません。プロレスって負けても絵になる選手っているじゃないすか。負けっぱなしでも面白ければ個人的にはありだと思う。それも含めてエンタメ。よくこれ(BreakingDown)ってエンタメだろうって言われるんですけど、僕からすると、野球だろうが、オリンピックだろうが、全部エンタメですよ。高校野球だってそう。エンタメという大きな括りの中に、僕はスポーツとか、いろんなものがあると思っています」

朝倉兄弟らと肩を並べるYUGO氏(左から2人目)【写真:ENCOUNT編集部】
朝倉兄弟らと肩を並べるYUGO氏(左から2人目)【写真:ENCOUNT編集部】

1分1ラウンドの闘いは世界で通じる

――1分間で最強を決めるという大会が始まったきっかけを教えてください。

「きっかけ本当に(朝倉)未来さんですよ。YouTubeでそういう発言をされていたので、僕からアクションをとった。それまで面識があったわけではありませんが、良かったら一緒にやりませんか?というところから始まったのが昨年です」

――YUGOさんから見ても、これは絶対にバズるなと感じた。

「そうです。1分1ラウンドの闘いって世界で発信できるんですよ。1分間でボコボコに殴り合うってこれコンテンツがすごく強くて、言語はいらない。これが最強だなと思ってます。ただ興行的な目線で言うと、やっぱり最初の1年は収益的な部分ではなかなか厳しかったですけど、前回からは収益的にも良くなってきましたし、ここからまた色々なチャレンジができます。収益はペイパービュー(PPV)の売り上げとスポンサー収入です。僕が一番健全だなと思うのは、ペイパービューの売り上げが占有率の多くを占めるということ。スポンサーだけ、テレビ放映だけ、というのは僕はすごく危ないモデルだと思ってて、しっかりとお金を払ってもらえるコンテンツを提供し続けることが必要だと思っています」

――素人同士の格闘技イベントで、安全面を指摘するような声もあると聞きます。

「安全面には細心の注意を払っています。まずきちんとしたドクターを大会ごとにつけているということ。オープンフィンガーグローブも、試合用ほど薄くはなく、拳の部分に“アンコ”が入っています。ですがやはりエンタメとして、安全面と、お金を払ってでも見たいと思うコンテンツとでバランスを取るのが難しいのは正直なところあります。安全面を重視して、ヘッドギアにレガースをつけてやりましょうとなった途端にアマチュアの大会になります。多分、面白くないです。前回は三崎優太さんがけがをしてしまいましたし、危険性はあります。僕らでそこのバランスを上手くとりながらやらないと、エンタメとして成立しない。そこはもう本当にやれるところはやるし、僕らも運営として真剣勝負しています」

――BreakingDownの今後のビジョンを教えてください。

「年内はこのペース(年に3回~4回)で大会を開催する予定です。来年くらいからまた考えている展開があります。海外展開もそうですし、国内での細かい展開もあります。もう少し規模の小さいものを都内ではなくて、地方でやるという構想もあります。目標はいくつもあります。PPVをさらに売ることもそうですし、海外進出もそう。挙げればキリがありませんが、まずはBreakingDown5を盛り上げたいと思っています」

□YUGO 1980年2月21日、青森県出身。幼少期はプロレスを見て育ち、田村潔司氏の主宰するジム「U-FILE CAMP」で総合格闘家としてプロデビュー。2013年に「RADIOBOOK」株式会社を立ち上げる。現在は同社の代表取締役/CEO。

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