【六本木クラス】異例の全13話、原作からの設定変更がどう出る? 「新鮮」と評価の可能性も
俳優の竹内涼真が主演するテレビ朝日系「六本木クラス」(毎週木曜、午後9時)がいよいよ7日からスタートする。Netflixの大ヒット韓国ドラマ「梨泰院クラス」の日本リメーク版として注目を集めている同作。初回は10分拡大で日本の民放連続ドラマとしては異例の全13話という力の入った編成が組まれた。
ハロウィーンが夏祭りに設定変更 “内向き”克復がカギ
俳優の竹内涼真が主演するテレビ朝日系「六本木クラス」(毎週木曜、午後9時)がいよいよ7日からスタートする。Netflixの大ヒット韓国ドラマ「梨泰院クラス」の日本リメーク版として注目を集めている同作。初回は10分拡大で日本の民放連続ドラマとしては異例の全13話という力の入った編成が組まれた。
「六本木クラス」は、Netflixの「梨泰院クラス」(全16話)を生んだウェブ漫画「六本木クラス~信念を貫いた一発逆転物語~」(漫画アプリ「ピッコマ」で配信)が原作。ファンからは「原作の世界観をどれほど再現できるのか」「韓国ドラマの日本リメークはよく失敗する」などの声がネットで上がっていたが、全13話とすることで登場人物のキャラクター造形や心象風景がより深く描かれる可能性が開けた。監督は「ドクターX~外科医・大門未知子~」や「七人の秘書」「特捜9」シリーズを担当した同局所属の田村直己氏というから期待が高まる。
近年の民放連ドラは9話前後と短いためストーリー展開や人物の内面描写、最終回のオチなどについて消化不良を起こすパターンが見受けられたが、全13話なら「梨泰院クラス」で強い印象を残した名場面やせりふの数々がかなり再現されそうだ。ただ、文化的背景や慣習の違いから場面設定の変更はある程度、やむを得ないかもしれない。テレビ朝日関係者も「六本木らしい地域カラーを盛り込みたい」としているが、テレ朝の社屋が六本木にあるから、という理由だけでドラマが“六本木推し”だらけになってしまうのは惜しい。
韓国ドラマに詳しい放送ライターがこう話す。「韓国の梨泰院は米軍基地に近いため米軍関係者が大量に流入して国際色あふれる歓楽街が形成されました。ハロウィーンのシーンもだからこそ意味があるのです。口を血だらけにしたネコのお面をかぶったスアがセロイを見つけて抱き着くシーンは名場面の1つとして挙げられますが、周囲の無国籍風な喧噪(けんそう)と混沌(こんとん)がさらにこのシーンを引き立てています。しかし、『六本木クラス』の予告編を見る限り日本リメークは夏場の撮影となったため“夏祭り”に設定が変わっています。和風情緒にあふれていてそれはそれで良いのですが、文化的に“内向き”になってしまうと『梨泰院クラス』のテーマ性とは逆の方向になってしまいます」。
ただ、主演の竹内涼真ほか、ダブルヒロインの新木優子と平手友梨奈は「梨泰院クラス」のスア(クォン・ナラ)、イソ(キム・ダミ)をうまく再現しており、宿敵役となる香川照之も強烈なオーラを放っている。「梨泰院クラス」に熱中したファンだけでなく同ドラマを見たことがない視聴者層にも好感を持って受け入れられる可能性はある。
韓国大手エンタメ企業の作品に多数携わった映像・出版プロデューサーの尹勝鏞(ユン・スンヨン)氏がこう指摘する。「『梨泰院クラス』ほどの人気作品となるとドラマの細部にまで興味関心を抱くファンが多いと思います。米軍基地に近いという場所柄、登場人物のアメカジ風の衣装が印象的ですし、人気俳優パク・ソジュンが演じた主人公のパク・セロイもミリタリールックが似合っています。六本木という街をどう再解釈してシーンに盛り込むか、テレ朝としては大きなチャレンジになるでしょう。また、全13話という規模にはなりましたが、それでも『梨泰院クラス』と比べると尺はどうしても短くなる。日本風に設定を変えたシーンが逆に新鮮だと評価され新しい視聴者層を獲得できるか、注目したいですね」
「六本木クラス」はTELASAに加えNetflixでも初回放送後から配信されることが決まっている。オリジナル版「梨泰院クラス」と比較されるのは必至だが、プラス評価、マイナス評価、どちらに転んでも話題となるのは間違いない。