Netflix「ペーパー・ハウス・コリア」にBTSが“登場”した深い理由 「ARMYはどこにでも…」
Netflixが6日(米国時間5日)、週間視聴時間グローバルTOP10(6月27~3日集計)を公式ホームページで発表し、現在配信中の韓国ドラマ「ペーパー・ハウス・コリア:統一通貨を奪え」が非英語ドラマ部門で2週連続1位を記録した。先週、初登場1位となった同作はNetflixで17年から21年まで配信されていたスペインドラマ「ペーパー・ハウス(英題:Money Heist)」(パート1~5)の韓国リメーク。総視聴時間は4900万時間となり2位以下を大きく引き離して独走状態となっている。
根底のテーマは韓国の“超格差社会” 「イカゲーム」との共通性
Netflixが6日(米国時間5日)、週間視聴時間グローバルTOP10(6月27~3日集計)を公式ホームページで発表し、現在配信中の韓国ドラマ「ペーパー・ハウス・コリア:統一通貨を奪え」が非英語ドラマ部門で2週連続1位を記録した。先週、初登場1位となった同作はNetflixで17年から21年まで配信されていたスペインドラマ「ペーパー・ハウス(英題:Money Heist)」(パート1~5)の韓国リメーク。総視聴時間は4900万時間となり2位以下を大きく引き離して独走状態となっている。
(以下、ドラマの内容に関わる記述があります)。
韓国と北朝鮮が統一を目指して実験的に創設した共同経済区域(JEA)を舞台に、4兆ウォン(約4000億円)の統一紙幣を奪うため人質を取って造幣局に立てこもった強盗団と南北合同警察チームの熾烈な攻防戦を描いている。ネットで話題となっているのは第1話のオープニングシーン。北朝鮮の首都・ピョンヤンが登場し金日成主席と金正日総書記の巨大な銅像がそびえ立つ中、女優チョン・ジョンソ演じる女性(後のトーキョー)がヘッドホンで韓国のボーイズグループ・BTSの大ヒット曲「DNA」を聴きながらダンスして階段を下りる。「BTSのファンはARMY(アーミー)と呼ぶ。ファンは全世界のどこにでも存在する。もちろん北朝鮮にもARMYがいる」といった心の声がアナウンスされ、自宅に戻っても「幼いころからこっそり韓流ドラマやK-POPに触れてきた私にとってARMYになることはあまりに自然だった」と韓流コンテンツが北朝鮮にも浸透していることを示唆した。
興味深いのは、「ARMY」を本来の意味として使っているところ。「私が他のARMYと違うのは本当に軍隊(ARMY)に入ったこと」というせりふがその後のドラマの展開に大きな影響を及ぼしている。北朝鮮から韓国に渡ったトーキョーは資本主義の苛烈な現実に飲み込まれて底辺に落ち自殺寸前にまで追い込まれるが、天才的戦略家である「教授」(ユ・ジテ)に見いだされ、“ARMY”として銃を手に一攫千金の戦いへと突き進んでいく。
韓国ドラマに詳しい放送ライターがこう言う。「ARMYが二重の意味で使われています。BTSファンであるARMYが全世界中に存在するように、社会の底辺に突き落とされた人々も全世界中に存在し本物の軍隊であるARMYのように戦わざるを得ない、といった文脈がドラマ全体に張り巡らされているようです。このドラマはNetflixの大ヒット作『イカゲーム』同様、韓国の超格差社会を描いた作品として見ると奥行きが深くなります」。4日に公開された「ペーパー・ハウス・コリア」のNetflix公式メーキング映像では北朝鮮が舞台として登場した理由について脚本家やキャストが思いを語っている。
映画「シュリ」(99年公開)で日本でも有名になった女優キム・ユンジン演じる危機交渉チームのリーダー、ソン・ウジンに加え、都市の名前を名乗る8人の強盗団メンバー、ベルリン(パク・ヘス)、トーキョー(チョン・ジョンソ)、モスクワ(イ・ウォンジョン)、デンバー(キム・ジフン)、ナイロビ(チャン・ユンジュ)、リオ(イ・ヒョヌ)、ヘルシンキ(キム・ジフン)、オスロ(イ・ギュホ)が大暴れする痛快ストーリー。「ペーパー・ハウス・コリア」のシーズン1は全6話。6話のラストシーンは唐突に終わっているため続編への期待が高まっている。