上白石萌歌、朝ドラで“胸を打つ”歌声 役としての歌唱は「セリフを発するよりも難しい」

女優の上白石萌歌が、連続テレビ小説「ちむどんどん」の中で響かせる歌声が「胸を打つ」と話題になっている。ヒロインの妹、比嘉歌子役の上白石は、「歌子が抱えている思いはもちろん、比嘉家の情景も浮かぶように歌っています」と吐露した。夢だった連続テレビ小説に、本名と同じ「歌」の字が入った役で出演。「同じ役と1年間向き合うことができる。どう自分とリンクをさせて、成長させていくのか。日々考えることが楽しい」と充実しているようだ。

上白石萌歌が「ちむどんどん」で演じる歌子への想いを明かす【写真:(C)NHK】
上白石萌歌が「ちむどんどん」で演じる歌子への想いを明かす【写真:(C)NHK】

出産前の姉を応援 恋する人を思い歌う切ない場面も

 女優の上白石萌歌が、連続テレビ小説「ちむどんどん」の中で響かせる歌声が「胸を打つ」と話題になっている。ヒロインの妹、比嘉歌子役の上白石は、「歌子が抱えている思いはもちろん、比嘉家の情景も浮かぶように歌っています」と吐露した。夢だった連続テレビ小説に、本名と同じ「歌」の字が入った役で出演。「同じ役と1年間向き合うことができる。どう自分とリンクをさせて、成長させていくのか。日々考えることが楽しい」と充実しているようだ。(取材・文=西村綾乃)

 連続テレビ小説第106作目の同作は、今年5月に本土復帰50年を迎えた沖縄が舞台。2014年度後期「マッサン」などを手掛けた脚本家・羽原大介のオリジナルで、個性豊かな4兄妹の成長を描いている。

「私は比嘉家の三女・歌子を演じています。共演しているみなさん全員、当て書き(演じる役者を想定して脚本を書くこと)なんじゃないかと思うぐらい、役と似ています。主演の黒島(結菜)さんは、潔い部分や志すことに真っ直ぐ突き進む部分が、演じている暢子と重なります。いつも家族の中心にいる、ニーニー(長男・賢秀役の竜星涼)は、現場でもムードメーカー。この先みなさんと(別の作品で)共演することがあっても、(劇中と)同じように『ニーニー(兄の意味)』、『ネーネー(姉の意味)』と呼んでしまいそうです」

 上白石が演じる歌子は、病気がちで引っ込み思案。父の賢三(大森南朋)から沖縄民謡や三線を教わり、歌や音楽を通じて世界を広げていく。高校で出会った音楽教師・下地響子(片桐はいり)に音楽の才能を認められたことは、大きな転機になった。

「(別の学校に異動する片桐から)『歌うことを止めてはいけない』と背中を押されるシーンは大好きな場面です。いつもビクビクしている歌子の人生を変えたし、私自身にとっても大切な言葉になりました。片桐さんとの掛け合いはとても楽しくて、自分の中でお芝居を越えて、心が動く瞬間が何度もありました」

 2017年から歌手としても活動する上白石。その歌声は折り紙付きだ。長女・良子が陣痛で顔をゆがめた時には、「椰子の実」を歌い励ました。姉の手を握り、祈るように響かせた透明感ある歌声は「癒される」と話題になった。

「歌手として歌うときは、限りなく自分に近い気持ちで歌っています。役は、その役の延長線上に『歌』がある。ここまで役の中で歌うことはなかったので、セリフを発するよりも、歌うことの方が難しいです。ドラマでは母(仲間由紀恵)に内緒で受けたオーディションで『翼をください』を歌いました。緊張してうまく歌うことができない歌子の心情を歌で表現することはとても難しいことでした。歌子が抱えている思いはもちろん、比嘉家の情景も浮かぶように歌っています」

 連続テレビ小説への出演は長年の夢。目標でもあった。

「同じ役と1年間向き合うことができる。長距離走だと思って取り組んでいます。まだまだゴールは先にありますし、どう自分とリンクさせるのか。歌子をどのように成長させるか。日々考えることが楽しいです」

 沖縄ことばは、テープを聞いて勉強。共演者らにも支えられた。

「初めて沖縄ことばのテープを聞いたときは、イントネーションが難しすぎてどうしようと頭を抱えました。私は鹿児島県出身なのですが、似ているところもあって鹿児島の言葉になったらどうしようという不安もありました。母親役の仲間由紀恵さんが沖縄出身なので、空き時間などに会話をする中で、発音を教えていただくこともありました。沖縄で行った撮影では、現地の方々の言葉にも耳を傾けて、最近はテープに頼らなくても大丈夫になりました」

 生まれて初めて手にしたという三線も、猛練習。劇中での演奏も、自らこなす。

「沖縄での撮影中。海の近くで三線を練習していたら、自転車に乗った地元のおじいちゃんが『よう頑張っとるな』と声を掛けてくださって、うれしかったです。東京では歌うことや踊ることはエンターテインメントになっている印象がありますが、沖縄には人が集まれば誰かが歌って踊るという文化が根付いていました。ロケで感じた沖縄の美しさや、風の心地よさを演技や三線の演奏を通じて、全国に届けたいです」

 ドラマでも歌う沖縄民謡「娘ジントヨー」がお気に入りという。「まろやかで、美しい歌詞が好きで、家でも聞いています。劇中では(砂川)智(前田公輝)に対する恋心を歌詞に重ねて歌っています。三線も歌も頑張って行きたい」と気を引き締めた。

 連続テレビ小説「ちむどんどん」はNHK総合で毎週月~土曜日、午前8時から放送。土曜日は1週間の振り返り。

□上白石萌歌(かみしらいし・もか) 2000年2月28日、鹿児島県生まれ。11年第7回「東宝シンデレラ」オーディションで、クランプリを受賞しデビュー。12年にドラマ「分身」で女優としての活動をスタートした。18年公開の映画「羊と鋼の森」で第42回日本アカデミー賞新人賞を受賞。adieuとして歌手活動も行う。身長163センチ、血液型A型。

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