渡辺大37歳、ますます父・渡辺謙似に「別に寄せているわけじゃないのに似てくる」
俳優の渡辺大(37)がBS 松竹東急「シネコンへ行こう!」(7月4日スタート、月曜・午後10時30分)で連続ドラマ初主演を果たした。シネコンを舞台に、笑いあり涙あり時々ラブありの人間模様を描くオリジナル作品で、支配人・水沢健太を演じる。都内で撮影中の渡辺に話を聞いた。
BS 松竹東急「シネコンへ行こう!」で連ドラ初主演
俳優の渡辺大(37)がBS 松竹東急「シネコンへ行こう!」(7月4日スタート、月曜・午後10時30分)で連続ドラマ初主演を果たした。シネコンを舞台に、笑いあり涙あり時々ラブありの人間模様を描くオリジナル作品で、支配人・水沢健太を演じる。都内で撮影中の渡辺に話を聞いた。(取材・文=平辻哲也)
渡辺は2002年、テレビ東京系ドラマ「壬生義士伝 新撰組でいちばん強かった男」で俳優デビュー。18年には主演映画「ウスケボーイズ」ではスペイン・オランダの映画祭で主演男優賞を含む2冠を獲得。20年のキャリアで連続ドラマは初めて。「支配人・水沢健太」とのバッジをつけたスーツ姿も、支配人風。役がすっかり板についていた。
「作品を背負う感じはあるかな。全体を俯瞰(ふかん)で見ないといけないし、より監督とコミュニケーションを細かく取るようにしています。1か月半ぐらいで一気に撮り切ってしまうので、流れていかないように、ちょっとずつ監督と話しながらやっていますが、気は抜けないです」と笑みを浮かべる。
ドラマは、やり手の新人マネジャー(北乃きい)が出向してきたのを機に、落ち目のシネコンを個性豊かな社員とともに再起に奮闘するコメディー。
「話をもらったときは本当にうれしかったですね。初主演ということもあるし、中身はシネコンの裏側だったので。裏側系の話はとても面白いですし、舞台あいさつでよく通る場所も細かく掘り下げて、皆さんに見ていただけるわけです。オリジナルだったので、全くどんな感じかも分からない状態で、台本を読ませていただいたんですが、すごく面白かったので、どう映像にするかなとワクワクしました」
支配人の水沢はどんな人物なのか。「復活の兆しがない落ち目のシネコンでなんとなく支配人をやっているんです。腐っているわけではないんだけども、『こういうもんだ』と思って、ただマイペースに職務をこなしているんですが、そのマイペースさがちょっと面白い。そこに、きっちりしているマネジャーが来ることで変わっていく。スタッフ役のみんなも魅力的で、そこが相乗効果になっていくんじゃないかな」。
デビュー20年でつかんだ連ドラでの初主演だが、「主役をやってみたいという気持ちは、もちろん、なくはなかったんですけど、どっちかといえば、面白い作品をやりたい、というのが先ですね。その中で主役に選んでいただいたことがありがたかった」と話す。
「ドラマで、映画の話ができるっていうのは非常に面白い」
シネコンでの撮影は深夜を使って、昼夜逆転の毎日だが、笑いが絶えない現場だという。「真剣にやっているつもりなんだけど、笑っちゃうみたいな感じです。台本には面白い要素がいっぱいあるんで、うまく表現できるかは心配だったんですけども、監督が結構、笑ってくれるので、大丈夫かなと思っています」。
ドラマでは二番手、三番手での出演も多いが、主演との違いは何か。
「途中から参加する作品では、その中でどう自分を見せるかを考えるのですが、今回はスタートからの参加で、自分で舵を切ることもできる。そこは違うかもしれない。僕が見てきた主役をやった先輩方は、どんなに大変な現場でも、ユーモアを持って、みんなを盛り上げてくれました。連ドラは長距離走的な意味合いもあるんで、息切れしないようにゆっくり先を見ている感じです。役でも、支配人というまとめ役。チームプレーも好きなので、楽しんでいます」
北乃きいとは初共演。「以前、同じ映画に出演したことはあるんですが、前回は同じシーンもなかったので、初めてです。天然っぽいところがあって、控え室では話題に事欠かない。彼女も、マネジャーとしての気質があるので、シネコンチームのスタッフともよくコミュニケーションを取っていますし、非常に助けられていますね」と感謝する。
ドラマよりも映画での印象の方が強いが、「映画には縁があるんだと思いますね。ドラマで、映画の話ができるっていうのは非常に面白い。この2、3年、コロナ禍で映画の企画が止まることも多く、テレビに出る機会が多かったのですが、映画の楽しさを思い出させてもらっています。映画とドラマの両方が元気になるような作品になれば、と思います。見てくださった方も、シネコンに行きたくなる作品になれば、と」。
現在、37歳。その容姿はハリウッドで活躍する父・渡辺謙にますます似てきた。「なんなんですかね(笑)。別に寄せているわけじゃないけど、だんだん、そうなるんですかね。『海と毒薬』や(NHK大河ドラマ)『独眼竜政宗』は20代の頃。その頃は知らないんですけども、『鍵師』(1993~1997年)や『御家人斬九郎』(1995~2002年)は子供の頃見ていました。CSで再放送をたまたま見たりすると、ちょうど今の僕と同い年くらいで、自分でも似ているな、と」と笑う。この初の連ドラ主演を機に、また一歩、偉大な父に近づいていくのだろう。
□渡辺大(わたなべ・だい)1984年8月1日、東京都出身。2002年、テレビ東京系ドラマ「壬生義士伝 新撰組でいちばん強かった男」で俳優デビュー。近年の主な出演作は「るろうに剣心 京都大火編」(14)、「クロスロード」(15)、「散り椿」(18)、「ウスケボーイズ」(18)、「ある町の高い煙突」(19)、「時の行路」(20)、「日本独立」(20)など。「峠 最後のサムライ」が公開中。