“大器晩成”樋口和貞、「最大級の屈辱」秋山戦から1年4か月で証明する「DDTの強さ」

「吠えろ!オホーツク」樋口和貞がDDTのさらなる躍進のため「KING OF DDT トーナメント」(7月3日、東京・後楽園ホールで準決勝、決勝)制覇を誓った。

温故知新でDDTを引っ張る樋口和貞【写真:DDTプロレス提供】
温故知新でDDTを引っ張る樋口和貞【写真:DDTプロレス提供】

毎週金曜日午後8時更新 柴田惣一のプロレスワンダーランド【連載vol.101】

「吠えろ!オホーツク」樋口和貞がDDTのさらなる躍進のため「KING OF DDT トーナメント」(7月3日、東京・後楽園ホールで準決勝、決勝)制覇を誓った。

 北海道紋別市出身の樋口。大相撲出身で体も大きく、ダイナミックなファイトは北の大地を連想させる。まさに「吠えろ!オホーツク」だ。

 ベスト4に勝ち上がり、準決勝で秋山準を下せば、決勝戦で上野勇希VS吉村直巳の勝者と対峙する。「ベスト4には何度も進出しているけど、そこからなかなか進めない」と頭をかくが、実際「大器晩成」「あと一歩」「今度こそ」「樋口待ち」……と言われ続けてきた。試合内容は太鼓判を押されているのに、なかなか結果を出せないでいる。

 強さが求められている現在のDDTで、樋口の飛躍が最も求められていることを、誰よりも樋口自身がヒシヒシと感じている。「これまで以上に、期待をされている。秋山準と”強いDDT”を体現し、決勝戦で改めてDDTの強さを披露したい」とズバリ。いつもはクールな語り口の樋口が、とにかく熱い。

 というのも、サイバーファイトフェスティバル(6・12さいたま決戦)で、ノアの中嶋勝彦に遠藤哲哉が戦闘不能に追い込まれて敗退。KO-D無差別級王座を返上している。今回のトーナメント優勝者は同王者に認定されるのだから、例年以上の注目が集まっている。優勝者そして同王者には、DDTを代表するプライド、意地、強さが不可欠なのだ。

 秋山は「今こそ、ベルトを巻いて、DDTの強さを出さなくてはいけない」といち早く表明。樋口との一戦を「彼となら、強さを見せられる闘いになる」と歓迎している。

 樋口と秋山と言えば、昨年3月、時の王者・秋山に樋口が挑戦。敗れた樋口に秋山が腰にベルトを巻かせたことで波紋を呼んだ。「最大級の屈辱だった」と振り返る樋口。しばらくは「引きずっていた」と認めている。

 ただし「今はそういう気持ちはない。大体、秋山準とはシングルは1勝1敗だから」と前を向く。秋山にベルトを“捧げる”光景のインパクトが大きく、樋口の劣勢のイメージが強いが、実際は五分の星。「様々な思いにケリをつけることになる」と意気込む。

 秋山との絡みは燃え上がる一方だが、遠藤には冷静な目を向けている。「色々とあったけど、遠藤哲哉うんぬんは、彼の問題であり、彼がこれからどうするか」とキッパリ。遠藤自身がどう考え、どのように再起していくのか? 新王者となって「負けずして王座を返上した」遠藤の出方を「待つ」しかない。遠藤は7・3決戦に来場する。その眼前で、新たなステージに突入するDDTを披露するのみ。

 樋口の描く新たなDDTとは「温故知新」だという。古いことや昔のことから、新しい知識や道理を見つけ出す温故知新。「過去と今のDDTをちゃんと検証し、次のDDTを見い出す。秋山準との闘い、そして決勝戦で、その口火を切りたい」と決意を固めている。

 これまでのDDTには「プロレス団体のすべてが詰まっている。面白さも強さもある」と胸を張る。「若い選手が台頭してきているし、みんなが同じ方向を向いている。ステージアップしたDDTの方向性を決めるのは7・3決戦で決まる新王者」とキッパリ。自らさらなるステップアップを目論むDDTの先頭に立つ。

 樋口が思い描くDDT。どんなバトルが展開されるのか。DDTの未来はこの一戦にあり。是非ともこの目で確かめたい。

次のページへ (2/2) 【写真】秋山準を弾き飛ばす樋口和貞
1 2
あなたの“気になる”を教えてください