武尊がうつ病&パニック障害を公表したワケ “言い訳”“負け惜しみ”とは異なる理由
立ち技格闘技K-1のエース・武尊(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)が27日、都内のホテルで記者会見を行った。一時、格闘技から離れ休養することを表明。さらには身体のけがだけではなく、数年前からうつ病、パニック障害を患っていることも明かした。
武尊に確かに届いていたファンの想い
立ち技格闘技K-1のエース・武尊(K-1 GYM SAGAMI-ONO KREST)が27日、都内のホテルで記者会見を行った。一時、格闘技から離れ休養することを表明。さらには身体のけがだけではなく、数年前からうつ病、パニック障害を患っていることも明かした。
那須川天心との“世紀の一戦”から8日経っての記者会見は、50分近くにも及んだ。司会者から武尊選手からまずあいさつをと振られると、武尊の口からは思い滝のようにあふれだした。
ファンや関係者、対戦した那須川天心への感謝から始まり、この日、会見を開いた理由を説明。そしてこの1週間の自身の心境は、何度も詰まりながらも、懸命に言葉をつないだ。
「数日は僕の中で色々な思いがぶつかりあって、毎日気持ちも変わるし、気持ちが落ちることもあったし、そんな中でも仲間だったり、友達だったり、お世話になっている人たちだったりと時間を過ごしたりして、試合終わってからSNSでもたくさんのコメントをいただいて、インスタだけでも1万件以上のコメントを頂いて。初めての経験でしたが、試合が終わってから、1日1、2時間しか寝られない日が続いたんですが、全部コメントを読ませてもらって、揺れ動いていた気持ちが救われた部分もあった。
試合が終わったときに花道で帰るときに僕の中では敗者はスポットライトを浴びずに、勝者が浴びて、敗者は静かに帰るイメージだったんですが、花道にファンの人が集まってくれて、応援してくれている人、信じてついてきてくれている人に申し訳ない気持ちでいっぱいだったんですけど、あそこでファンの人たちに『ありがとう』という言葉をたくさん頂いて……本当にそれが、それは僕は一生忘れないなと……」
ここで涙を堪えきれなくなった。敗れた後の花道で聞こえたファンからの「ありがとう」が勝った後のどんな「おめでとう」よりも嬉しく、「どんな勝利よりも報われたと思えた」と率直に胸の内を明かした。
SNSに無数に届いた「やめないで下さい」の声も胸に響いた。引退の2文字が何度も頭をよぎったが、踏みとどまれた。
「負けた時は正直悔しさもあったし、これで終わりだなという気持ちもあったし、だけどやっぱ心のどこかでやり返したい気持ちもあったし、なんか本当に色々な気持ちになったんですけど、あの……この10年プロでやってきて、本当に僕のファイトスタイル的にも身体を酷使してきたし、公表してない部分でもけがに悩まされた部分もあって、それも含めて、今回一回格闘家として歩みをストップさせたくなって、休養させていただこうかと」
引退ではなく休養。再びリングに帰ってくる道を選択したのだ。
「この10年はちょっと無理しながらでも、やってきた。1回僕の心と体のコンディションを正常に戻して、新しいチャレンジができたらなという気持ち。前向きな意味で1回休養させていただこうかと思っています」