高給与で人気、外資系企業の“解雇事情” 冷酷イメージも幹部は否定「合意の上です」

来春卒業予定の大学生が就職活動を進める中、内々定を出す企業数がピークを迎えている。人気の高い外資系企業では今年3月から4月までに選考を終えているケースが多い。ところで、外資系企業の人気の背景にあるのが高給与だが、そもそもなぜ外資系企業は日本企業と比べて給料が高いのか。また外資系は簡単に解雇される、というイメージも根強い。本シリーズでは外資系企業の給与実態、すぐに解雇されるという冷たいイメージ、外資系企業社員のライフスタイルを外資系企業幹部の証言をもとに3回にわたって紹介する。第2回は「解雇」。

資系企業社員のライフスタイルを紹介、今回は「解雇」について(写真はイメージ)【写真:写真AC】
資系企業社員のライフスタイルを紹介、今回は「解雇」について(写真はイメージ)【写真:写真AC】

欲しい人材には「事なかれ主義の方は向いていない」

 来春卒業予定の大学生が就職活動を進める中、内々定を出す企業数がピークを迎えている。人気の高い外資系企業では今年3月から4月までに選考を終えているケースが多い。ところで、外資系企業の人気の背景にあるのが高給与だが、そもそもなぜ外資系企業は日本企業と比べて給料が高いのか。また外資系は簡単に解雇される、というイメージも根強い。本シリーズでは外資系企業の給与実態、すぐに解雇されるという冷たいイメージ、外資系企業社員のライフスタイルを外資系企業幹部の証言をもとに3回にわたって紹介する。第2回は「解雇」。

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“ガイシ”と聞くと、社員を簡単に解雇するというイメージが付いて回る。2008年9月のリーマンショック時に米国の投資銀行を解雇された社員が段ボールひとつを抱えて社外に放り出される姿が繰り返し日本のニュース番組でも報道された。そうした光景が日本人に「外資は冷たい」といった印象を与えてしまった。実際はどうなのか。取材に応じた外資系企業幹部は「非常時の場合や、整理解雇、懲戒免職など社員側に問題があった場合の解雇をのぞけばそんなことはありません」と即答する。ただ、この幹部によると、目標設定とそれに対する評価は日本企業よりシビアに行われているという。例えば、営業なら今後の目標を立ててそれをどう達成するのか、具体的な数字をもとに計画を立てていく。その場合でも目標をいきなり2倍に引き上げるなどといった無謀な目標は絶対に設定しないという。基本方針はゆるやかな業績向上だ。

「会社としてはその社員本人だけの責任にはしません。マネジャー(上司)と徹底的に話し合うことで実現可能な目標設定を決めていきます。ですから社員本人もさることながら、マネジャーの責任も重いと言えます。マネジャーは部下の業績向上のために有益なアドバイスをする必要がありますし、ピープルマネジメントの知識も必要とされます。部下がマネジャーを採点する逆評価制度もありますから、マネジャーは威張ってばかりはいられません。いかに部下に寄り添えるか、キャリアを伸ばしていけるか、そしてそのためのリーダーシップを発揮していけるか。良き伴走者となれているか。これがマネジャーの評価を左右します。マネジャーと部下は少なくとも月に2回はミーティングを行います。とかく個人プレーが外資の仕事のやり方のように見えるかもしれませんが、実は個人とチームで課題に取り組むというのが外資系企業の基本です」

 それでも上司には面と向かって反論できないのでは。「面と向かって反論は難しくても、言い方次第でしょうか。外資系企業でやっていくのが難しい人の傾向はいろいろありますが、その一つに自分の意見を言わない人。マネジャーのアドバイスや意見に納得がいかないと思ったら『それは違うのではないか』と率直かつ、建設的な意見を言えるスタイルの方が好感を持たれますし、長いものには巻かれろといった事なかれ主義の人は外資系の会社には向いていないと思います。もちろん和の精神は大切ですが、常態化するとかえって弊害となります」。

 業績が上がらない場合はすぐに解雇するのではなく、面談を重ねて理由や対策、目標再設定などについて意思確認を行っていくという。「いきなり解雇というのはありえません。会社としては面談を重ねてそれでも業績アップが難しい場合、あるいは本人のキャリアプランに別の希望がある場合に辞職という結論になります。意外かもしれませんが、解雇はあくまでも合意の上ですし、退職金もちゃんと出ます」

 さて、そんな実力主義の外資系企業だが、気をつけなければならないのは“あんこ”入りのシュークリームだという。どういうことか。「外からはシュークリーム(外資)に見えても中身はあんこ(日本)といった外資系企業が存在していることです。資本こそ外資でも人事は年功序列で社内用語は日本語、退勤時間が過ぎても上司につきあって社内にいないといけない、社内提案は通らない、などといった“日本風”外資系企業が実は多いです」。

 看板だけを見てはいけない。応募にあたってはその会社の内情をよく調べる必要がありそうだ。

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