東出昌大、三島由紀夫の魅力をおおいに語る「出会いは10代後半」
俳優の東出昌大が17日、東京・東新橋のスペースFS汐留で行われたドキュメンタリー映画「三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」(20日全国公開)のトークイベントに豊島圭介監督とともに出席した。
映画「三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」トークイベント
俳優の東出昌大が17日、東京・東新橋のスペースFS汐留で行われたドキュメンタリー映画「三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」(20日全国公開)のトークイベントに豊島圭介監督とともに出席した。
本作は、1969年5月13日、東京大学駒場キャンパス900番教室で行われた三島由紀夫と、東大全共闘の伝説の討論会の様子を軸に、三島の生き様、「生きた」証言を集めたもの。東大出身の映画監督、豊島氏が初めてドキュメンタリーを手掛けた。イベントは当初、一般を招待した試写会として予定されたが、新型コロナウイルス感染防止の観点から、マスコミを集めたトークイベントのみの実施となった。
“最後の”長編小説「豊饒の海」の舞台化に出演し、多くの三島作品を読んでいることから、本作のナレーターをオファーされた東出は「三島(文学)との出会いは10代後半だったと思うんですが、文章の豪華絢爛さ、描写の緻密さに惹かれた。全部好きなので、どれがいいと言えない。でも、文豪小説は堅苦しいというイメージを持っている方もいるので、そういう意味では薄い方が入りやすいのかな。『音楽』『美しい星』は読みやすい」と話した。
一方の全共闘については「僕が学生の頃、持ち合わせていた気概とは歴然の差があった。熱量を感じ、感動を覚えた。もし、僕がこの討論の場に居合わせたら、三島由紀夫に圧倒され、心酔し、そばにいて感化されていたと思います」と語った。
この伝説の討論会に関する書籍はすでに読んでいたそうだが、「書籍でも読んでも難しかった。この討論会は知の頂上決戦と言われるんですが、三島、東大全共闘の方々の共通言語が高い次元にあるように思え、すぐに理解できなかった。映像化したことによって、解釈が入っていて、書籍よりも分かりやすく、腑に落ちるものになっていた。三島になじみがない人、学生運動になじみのない若い人にも楽しめるものになった」とアピールした。
豊島監督は「東出君のナレーションは田口トモロヲ風だった。事実を受け止めて黙々とやる感じだと思っていたら違った。対象への理解が深くて、演出のようなものが効いていた。ある種、映画が生まれ変わったような思いがあって、本当にやってもらってよかった」と絶賛していた。