スカイラインGT-Rは「3000万でも売らない」 日本の財産と力説するオーナーのハコスカ愛

このスカイラインGT-R、もとは日本で5台しか生産されていない貴重車なんだそう。12年前に700万で購入し、大切に乗り続けている。「3000回転になると音が変わる。それがいいよね」とエンジン音を絶賛するオーナーの小林重之さんに魅力を聞いた。

1971年式のスカイラインGT-Rはシャンパンゴールドの車体【写真:ENCOUNT編集部】
1971年式のスカイラインGT-Rはシャンパンゴールドの車体【写真:ENCOUNT編集部】

ポルシェ抜いた伝説の「羊の皮を被った狼」 魅力は

 このスカイラインGT-R、もとは日本で5台しか生産されていない貴重車なんだそう。12年前に700万で購入し、大切に乗り続けている。「3000回転になると音が変わる。それがいいよね」とエンジン音を絶賛するオーナーの小林重之さんに魅力を聞いた。(取材・文=水沼一夫)

 車は1971年式で、色はもともとはサファリゴールドだった。2か月の間、5台しか生産しなかったというレアな1台だ。

 12年前に購入後、修理費やオーバーホールなどでさらに500万円をつぎ込んでいる。

「それでも安いもんだよね」と小林さん。魅力については「コレのいいところはツインカムなのよ。カムが2つあるわけ。音が3000回転になると変わる。それがいいよね。GT-Rしかできない。ハコスカのGT-Rだけが高音に変わる」と、エンジン音を絶賛した。

 さらに「アクセルを踏んだとき、カムシャフトからくる音がヒュンヒュンとうなるんですよ。それは乗ってみないと分からない。この2つは言われていたことだけど、乗ってみるとすごい」と、実感を込めて付け加えた。

 もちろん、デザインもお気に入りだ。「四角で、当時こんなデザインないでしょ。ハコスカって言うけど、その通りだよね」

 名車の色あせない歴史は、昨日のことのように熱く語る。

「1964年第2回日本グランプリで、ポルシェが出たんだけど、最新最強と言われたポルシェを一瞬抜いていった。それが伝説の『羊の皮を被った狼』。いい名前をつけたよね。日本中がポルシェを抜いたって大騒ぎになって、スカイラインの名を知らしめた。サーキットでも50勝したでしょ。それでハコスカが不動の位置になったよね」

小林さんの長男が書いた絵【写真:ENCOUNT編集部】
小林さんの長男が書いた絵【写真:ENCOUNT編集部】

日本の重課税制度にカツ 「大間違い、大バカヤローだ」

 現在、シリアルナンバー入りの同タイプ車は、中古市場の相場で最低でも2500万程度まで高騰しているという。小林さんは「3000万でも売らない。もう手に入らない」と手放すつもりはない。次男が乗っており、「こういうのは日本の財産、文化ですよね。永久に乗れる車」と力を込めた。

「ハンドルが重いので疲れるんですよ。クーラーも入っていないし。乗るのは面白いですけど、遠乗りでエンジョイする車じゃない。イベントに出したり、市内で週に1回乗るだけ。あとは乗らないですよ」

 こう苦笑もするが、50年前の車でも、胸を張れるだけの価値があると主張する。

 悩ましいのは、クラシックカーの維持費だ。世界的に「SDGs」(持続可能な開発目標)が叫ばれる中、年月がたつにつれ増税となる日本の自動車税や自動車重量税は時代に逆行しているとの見方がある。その結果、まだ走れる希少性のある車を手放す愛好家もいる。

「ドイツとかフランスは家が石づくりでしょ。日本は車もそうだけど、どんどん新しい家に替えて、経済を回すやり方。でも、ヨーロッパは建物を動かさない。その代わり、内装は自由にできる。ドイツとかフランスは50年以上の車は逆に減税の対象ですよ。日本はどんどん税金が高くなる。大間違い、大バカヤローだ」と小林さんは訴えた。

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