「SEPT」2022年初公演が熱いワケ “頭脳コンビ”が明かす新境地と散りばめた“仕掛け”

音楽・演劇・パフォーマンスをMIXした新世代エンターテインメント・ステージ「SEPT」は、6月8日から12日まで博品館劇場(東京都中央区)で「SEPT ReAnimation ARIARIUM(アリアリウム)」を上演した。

「SEPT」主宰の杉浦タカオ(左)と演出のウチクリ内倉【写真:小田智史】
「SEPT」主宰の杉浦タカオ(左)と演出のウチクリ内倉【写真:小田智史】

杉浦タカオとウチクリ内倉が「ARIARIUM」に込める思い

 音楽・演劇・パフォーマンスをMIXした新世代エンターテインメント・ステージ「SEPT」は、6月8日から12日まで博品館劇場(東京都中央区)で「SEPT ReAnimation ARIARIUM(アリアリウム)」を上演した。

「ARIARIUM」は2020年、21年に上演した「ReAnimation」の世界観を継承する、今の時代を描いたサクセスエンターテインメントステージ。12日に全9公演を終え、12日の千穐楽を含めた5公演は、配信アーカイブで1週間視聴することができる。

 インタビュー最終回は、「SEPT」主宰の杉浦タカオ、9年来の付き合いである演出のウチクリ内倉の2人に、「ARIARIUM」へのこだわりや舞台裏について聞いた。

――「SEPT」の2022年は、3月に開催予定だった『DREAM TELLER~Fate to Re:A~』が、新型コロナウイルスの感染拡大状況を鑑みて延期することからスタートしました。それだけに、今回の「ARIARIUM」への思いはいっそう強かったのではないかと思います。

杉浦「本当は3月、6月、8月と3部作にする予定だったので、そこから大幅な変更を余儀なくされました。例えば、僕とウチクリさんが演じる神様役の“3羽鴉”はこれまでの色ごとの担当(青井、黄経、赤見沢で構成)がきかなくなってしまって、イチから作り直そうということで(STU48の)今村美月ちゃんが演じるHINAが入ります。ウチクリさんと相談しながら、紆余曲折があって今回の『ARIARIUM』という作品にたどり着きました」

ウチクリ「延期になった公演のリベンジができるということで、つかさしくん(久遠役)、Ryokoちゃん(茉莉役)、浜川英也くん(楠那智役)、浜崎正太郎くん(我同零一役)の『DREAM TELLER~Fate to Re:A~』の続投組が気合い十分だったね」

杉浦「特につかさしくんとRyokoちゃんは、初舞台がいきなり延期になってしまったからね。今回、再度オファーをさせていただいたときに、延期になってしまったからこそ、もう一度やりたいと言ってくださった。みなさん、思いが募っての『ARIARIUM』になったと思う」

――公演直前の『ARIARIUM』大解剖生配信で、伊藤祈留役のピコさんが「ウチクリさんの熱がすごい」と話していました。

ウチクリ「僕の中で、どこかでミュージシャンと役者を分けてしまっていたところがあったのかもしれません。でも、舞台に立つうえでは、どちらもエンターテイナーとして一緒なんだと思えた瞬間があったんです。だったら、遠慮せずに高みを目指していきたいと思って。それに応えてくれるみんなだったので、つい熱が入ってしまいました(笑)」

杉浦「完全にスイッチが入った瞬間があったね(笑)。今回は稽古期間が少し長めだったのと、(キャストの)人数が少ないなかで、前回の『ReAnimation』からの続投組が7割。ウチクリさんの中でも、おそらく『もっとこうしたらいいのに』感が募っていたり、いろんな要素が合わさって熱を帯びていった気がする」

キャストとして杉浦は“3羽鴉”の黄経(左)、ウチクリは青井を演じた【写真:小田智史】
キャストとして杉浦は“3羽鴉”の黄経(左)、ウチクリは青井を演じた【写真:小田智史】

“同じだけど同じじゃないもの”を描く難しさとおもしろさ

――『ReAnimation』の世界観が引き継がれるやりやすさ、逆に違いを見せないといけない難しさはありましたか?

ウチクリ「脚本的にはどうなの?」

杉浦「難しさはめちゃめちゃあります。世界観は同じですけど、世界軸は違って、“同じだけど同じじゃないもの”を描かないといけない。当然、僕の中で前回の記憶が残っているので、一度“知恵の輪”をほどく作業からまず入りました。ウチクリさんにも『どうしたら分かりやすくなるかな?』とたくさん相談させてもらいながら、なんとか(知恵の輪を)ほどき切った結果、『ARIARIUM』という傑作にたどりついたと思います」

ウチクリ「『ReAnimation』を見た人も、今回初めて見る人も楽しめる作品を目指していたけど、結果的に『ARIARIUM』を見た人は『ReAnimation』も見たくなるはずだなと思った」

杉浦「たしかに(笑)。もちろん『ARIARIUM』単体で見ても楽しめるけど、バックボーンが描かれていると言われたらそっちが気になるからね。いい意味で世界観を踏襲できたのかなと感じる」

ウチクリ「懐かしさもあり、そこは全然違うんだ、とかね(笑)」

――STU48の兵頭葵さん(小湊美凪役)は今回が初舞台。同じSTU48の今村さんも「SEPT」で舞台デビューを飾り、4回目の出演となりました。お2人から見た彼女たちの印象は?

杉浦「兵頭ちゃんに関しては、出会うべくして出会ったのかなと思います。演奏ができることは、『SEPT』にとってすごい強み。特に、キーボード、ピアノが弾ける人材がいなかったんです。前回の那智役の浜川くん、人気バンド『ラプラス』の拓真を演じてくれた松波優輝くんもゼロからスタートして、頑張って練習して、ステージで弾いてくれました。そのなかで、今回はすごくレベルの高いところから入れました」

ウチクリ「そこの安心感はすごかったね」

杉浦「お芝居的にもおもしろいよね」

ウチクリ「兵頭ちゃんとはお芝居をしているところから出会っているから、いろんな感情表現をしてくれる人なんだと思って話してみると、普段はニコニコして、ほかの感情はあまり出さないと聞いて、そういう人のほうが役者に向いているのかなと思った。普段見せない部分を、舞台で見せる魅力が兵頭ちゃんにはあると思う。今村ちゃんも、本当に安心して任せられたよね」

杉浦「むしろ引っ張ってもらってるくらい(笑)」

ウチクリ「本当にそう(笑)」

杉浦「一緒にステージに上がる人間としてすごく心強いし、なんの心配もない。何かあっても、なんとでもなる空気感ができてる。よくぞ不思議な3羽鴉についてきてくれたなと思う(笑)」

ウチクリ「今村ちゃんは初舞台から何年経つ?」

杉浦「3年だね。2019年に(『ARIARIUM』の会場である)この博品館劇場で『FATALISM ≠ Another Story』の主演をやってもらって。今村ちゃんは『SEPT』では雛菊(HINA)としてしか生きていないんだよね」

ウチクリ「そうか。それは(HINA役が)鉄板になるよ」

街中の広場に設置されたステージ「アリアリウム」を舞台に物語が描かれている【写真:小田智史】
街中の広場に設置されたステージ「アリアリウム」を舞台に物語が描かれている【写真:小田智史】

芝居も、音楽も、「すべてが見どころ」

――「ARIARIUM」の配信された公演は、アーカイブで1週間楽しむことができます。配信で観劇される方へメッセージをお願いします。

ウチクリ「僕らはずっと、音楽とお芝居の融合を目指しています。『ReAnimation』シリーズあたりから、それが合致してきたというか、噛み合ってきたと感じています。いろんな方に見ていただきたいし、このご時世でもあるので、僕らは届け続けるしかない。この勝負も、何年後かにはやって良かったし、自分たちの力になっている作品だと思うので、それをお客さんにも同様に感じていただけたらうれしいです」

杉浦「僕が(脚本を)書いて、ウチクリさんが演出をすると、目が忙しい作品になるんです(笑)。しかも、それは嫌な忙しさではなくて、たくさんいろんなところに散りばめられたものが最後に1つに合致します。すべてを見逃さずに見ていただきいし、そうすることで、最後の感じ方が1人1人変わっていく、おもしろい作りになっていると思います。お芝居も、音楽も、すべてが見どころ。見方を変えると最後の感じ方が変わるので、1回見てもおもしろいし、きっと2回目、3回目でも楽しめるはずです」

「ARIARIUM」全9公演を終えたあとの大千穐楽スペシャルでは、8月の新公演情報もサプライズ発表。タイトルは「SEPT story of ReAnimation 『ReverSing』」。8月18日から22日までの5日間、こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ(東京都渋谷区)で全9公演を上演する。

【タイトル】
SEPT story of ReAnimation 「ReverSing」

【日程】
2022年8月18日(木)~22日(月)全9公演

【会場】
こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ

【主演】
大平峻也・佐藤日向

【新キャスト】
近日解禁!!

トップページに戻る

あなたの“気になる”を教えてください