音楽・演劇・パフォーマンスをMIXした新世代エンターテインメント・ステージ「SEPT」は博品館劇場（東京都中央区）で、6月8日から「SEPT ReAnimation ARIARIUM（アリアリウム）」の上演がスタートした。（取材・文＝小田智史）

　本作は、2020年、21年に上演した「ReAnimation」の世界観を継承する、今の時代を描いたサクセスエンターテインメントステージとなっている。

　キャストインタビュー第1弾は、「ウマ娘」や数々の人気作に出演し、アーティスト活動も行う声優・Machico、ボーイズグループオーディション「THE FIRST」で合宿2次審査まで通過するなど今後を期待される大山天。初舞台にして主役を担う2人を直撃した。

――大山さん、Machicoさんともに、今回の「ARIARIUM」が初舞台と伺いました。

大山「セリフを覚えられるのか、自分が演じきれるのか、いろんな不安や葛藤がありました。でも、こうして実際に舞台に立って、しかも主演（八城皇成役）を務めさせていただいて、お芝居っておもしろいな、やっぱり自分はステージに立つことが好きなんだなと実感しました。今回オファーをいただいて、自分は運があるなと思います」

Machico「演じること自体は普段のお仕事でさせていただいていて、私もすごく好きです。でも、今までは『声』だけでの表現だったので、自分の表情や動作で表現しなくてはいけない不安はありました。表情筋が硬いなとか、まだまだ課題はありますけど、今の自分が最大限できる身体の使い方を意識しています。特に、私が演じる（七原）胡乃美は1人で抱え込んで、空回りしてしまうタイプの子。危うさだったり、気持ちを共感していただけるような演技ができたらいいなと思います」

――お互いの役の印象は？

大山「皇成は胡乃美さんのことを知っていて、自分から話しかけられないくらい尊敬しています。そんな人から『悩みごとない？』と言われて、物語が進んでいきますが、話している最中にも『胡乃美さんの笑顔は本当なのかな』『なんで俺のことを応援してくれているんだろう』と葛藤がどんどん増えていって、胡乃美さんに幸せになってもらいたいという思いにたどりつきます」

Machico「胡乃美から見た皇成は、『まぶしい』という言葉が一番合うと思います。パフォーマンスを含めてとにかく自分の信じたものに真っすぐに取り組む姿勢は、本人は意識せずとも自然と周りを引き込んでいく。そのまぶしさに、思わず目をつむってしまいたくなるような部分は、演じている天くんとも通じています。年齢が10個違うんですけど、本当にまぶしすぎて面を食らいそうになります（笑）」

大山「Machicoさんは全然目を合わせてくれない（笑）」

Machico「私は人と目を合わせるのが苦手だから（笑）。本読みのときに初めて天くんが演じているところを見たけど、自分ができないと思ったところに対して、すぐに積極的に聞いて、アドバイスをもらってその場で全力でやって、またアドバイスをもらってと繰り返す。そういう真っすぐさが皇成に似ているから、胡乃美ではなく、Machicoとしてもまぶしくて、『私にはそんなことできない』という胡乃美の気持ちとシンクロするんだよね」

――「ARIARIUM」の見どころを教えてください。

大山「たくさんありすぎて困るな（笑）。胡乃美の発言、皇成の発言、その本当の気持ち、セリフの裏で何かを考えているんだろうとじっくり見て、考えて観劇していただきたいです」

Machico「この作品は胡乃美と皇成の悩みや葛藤が中心に描かれていますけど、（伊藤）祈留と（伊藤）玲、（楠）那智と（恩田）未来、それぞれに違う悩みがあって、登場人物が出てくるたびに葛藤の形が変わります。自分がどの葛藤と共感できるのか、選べる作品だと思います。（演出・青井役の）ウチクリ（内倉）さんの『みんながメインだよ』という言葉を聞いて、私はすごくすてきな考え方だと感じました。それぞれが葛藤を乗り越えて輝いていく姿を、自分に重ね合わせながら見届けても楽しいし、共感してほしいです」

――音楽とお芝居が融合した「SEPT」との出会い、そして初舞台出演をきっかけにどのように自分の成長につなげていきたいですか？

大山「うーん……（熟考）」

Machico「天くんはまだ実感が湧かないのかも。いろんなこと始まったばかりだから」

大山「演技を経験して、相手に何かを伝えるとか、こう考えてからこういう言葉が出ると頭で思い描くようになりました。自分が今後歌う歌詞、ラップ、ダンスにリンクさせられるはずだし、今後の活動に生かせる部分が多いと思います。あと、少し泣きやすくなりました（笑）」

Machico「たしかに。涙と汗がよく出るようになった（笑）」

大山「いや、汗は仕方ないですよ（笑）。僕、もともと汗かきだから」

Machico「私は日ごろ、同じ声優さんと作品を作っています。声優のお仕事だと、自分の声しか聞こえない分、その中に抑揚とかをつけないと言葉がきれいに通じない。この10年間、自分なりに演技と向き合ってきて、少しずつ考え方が固まってしまう部分が少なからずありました。でも、今回『SEPT』でダンスをやっている人、楽器をやっている人を含めて、演技を経験していない方々ともご一緒させていただくことで、セリフ、シチュエーションによってシンプルに出てくる感情の表現を見て、そういうアプローチの仕方もあるんだとすごく勉強になりました。みなさん表現者だから、それぞれが気持ちの乗せ方のプロ。お互いにリスペクトしながら、ほかの方の表現も見て、自分なりに落とし込める場所になって、すごく感謝しています」