部署や世代の“壁”をゲーム交流で取り払え! eスポーツ「社内同好会」に脚光

eスポーツで遊び合うことで、会社内のつながりを強化させる―。ゲームを通した社員同士の交流に着目したユニークな取り組みが動き始めた。インターネットカフェなどを運営する「シティコミュニケーションズ」(横浜市)の「eスポーツ同好会」だ。部署間や世代間の“壁”を取り払って、団結力を高めるという新時代のコミュニケーション方法に注目が集まっている。

「シティコミュニケーションズ」の「eスポーツ同好会」(右手側)は健闘を示した
「シティコミュニケーションズ」の「eスポーツ同好会」(右手側)は健闘を示した

コミュニケーション深めるためのeスポーツ活用術 事業拡大への新たな一手に

 eスポーツで遊び合うことで、会社内のつながりを強化させる―。ゲームを通した社員同士の交流に着目したユニークな取り組みが動き始めた。インターネットカフェなどを運営する「シティコミュニケーションズ」(横浜市)の「eスポーツ同好会」だ。

 7月6日、東京・中野のゲーミングスペース「Red Bull Gaming Sphere Tokyo」。昼下がりの会場に、きらびやかに輝くディスプレイを囲んで、あちらこちらで歓声が沸いた。

 有志メンバーによる人気格闘ゲーム「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL」の企業対抗戦「スマツク!」の第2回大会。企業ごとに結成された32チームが熱戦を繰り広げた。真剣な表情でコントローラーを操作して戦い、ガッツポーズと悔しげなため息が交錯。対戦が終われば、互いの健闘をたたえ合う姿が見られた。インターネットカフェ部門とシステム部門の計4人で構成したシティコミュニケーションズのチームは、決勝トーナメント進出の成績を残した。

eスポーツの企業対抗戦「スマツク!」は大いに盛り上がった
eスポーツの企業対抗戦「スマツク!」は大いに盛り上がった

 世界的に成長を続けるeスポーツ産業。2019年度中の参入を目指す同社では、昨年にゲーム好きの若手が中心となって「eスポーツ同好会」を立ち上げた。同社は、野球やゴルフといったスポーツの「部活動」のほか、共通の趣味を持つ社員同士が集まる同好会の活動が盛んだ。新たに誕生した同好会ながら、20代を中心に40代の社員も含めて62人が所属している。

 同好会発起人で、同社が運営するインターネットカフェ「DiCE」テクニカルチーフの橋本尚吾さん(28)は「eスポーツは、年齢が上の人にとってはまだ理解度が低い。それでも、一緒にゲームをやって一度体験すれば楽しさが伝わるだろうと思った」と説明する。

 同好会は親睦に加え、eスポーツ新規事業の機運を高め、社内における理解を促進させる狙いもあるという。実際に行動力は目覚ましく、全社員が参加する忘年会で、「マリオカート」を用いた事業部対抗ゲーム大会を企画。今回の「スマツク!」などのeスポーツの大会にも積極的に参加している。

誰とでも楽しめるのがゲームの利点だ
誰とでも楽しめるのがゲームの利点だ

 eスポーツは、今年10月に茨城国体の文化プログラムとして都道府県対抗eスポーツ大会の実施が予定されるなど、国内で普及・浸透が加速している。こうした中で、同社は同好会活動だけでなく、ビジネス進出にも着手。今夏に札幌にオープン予定のインターネットカフェの新規店舗に「eスポーツエリア」の設置を決定。20台のモンスタースペックPCにゲーミングデバイスをそろえ、本格仕様となる予定だ。また、都内にイベント開催ができる「eスポーツ専門店舗」の開設を計画。今後は海外展開も視野に入れているという。

 新入社員の石井崚さん(22)は、インターネットカフェ部門に従事しながら、同好会の活動では学生時代に培ったゲーム実況のMCもこなす。「勤務する店舗が変わると、交流が途絶えがちになる。仲間と離れても、オンラインゲームを通してコミュニケーションを取ることができる。それに、ゲームという共通の話題があれば、初めて会う社員とも話がしやすい」と、ゲームならではの利点を語る。

 若手社員に活躍の場を与え、連帯感も生み出すeスポーツの活用方法。橋本さんは「eスポーツを通して、人と人のつながりを作ることができる。新規事業としては、一般ユーザーも入りやすいライト層向けの店舗作りを目指す。同好会としても、社内イベントの開催を考えていきたい」と話している。

 (ENCOUNT編集部・吉原知也/Tomoya Yoshihara)

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