彼女はもちろん諏訪魔本人に名刺を渡し「是非、当行に口座開設を」と営業活動。「はい。今度、ハンコを持って行きます」と諏訪魔は笑いながら返していたが、本当に後援会の口座を開設している。口約束だけではなく本当に貯金するとは、何とも律義な諏訪魔だった。

　諏訪魔はキャリアや試合だけではなく、練習や特訓、怪我やインタビュー、コメントなどの場数も踏んでその度に一歩ずつ確実にステップアップして来た。経験が身につくタイプの選手だ。女性行員の「諏訪魔！　貯金しろ！」は、実際に金銭の貯蓄のことだろうが、それは「プロレス経験値の貯金もしろ」という意味とも取れる。

　サムライTVで天龍源一郎氏が「諏訪魔にはもっと頑張ってほしい」と発言していた。全日本は「諏訪魔の頑張りにかかっているのだから」と、ちょっと厳しい内容だったが、それはもちろん期待の裏返し。2004年の入団時には「ネクスト・ジャンボ（鶴田）」と、鳴り物入りで期待も大きかった。恵まれた体で活躍してきたが、のびしろはまだまだある。

　ブードゥーに「復帰」し、ワルになった諏訪魔も、オフには黒髪に戻しプロモーション活動に勤しむなど「赤と黒」を楽しんでいる。その顔はいよいよイキイキしている。暴走するにはもってこいの環境が整った。キャリアを積んでさらにプロレス貯金をいっぱい増やしているのだ。リミットを外してもっともっと大暴れしてほしい。