美容に無関心だった男性は30代半ばから急激に老化する 専門医が語る“男の曲がり角”
生活習慣で必要な「デジタル・デトックス」 就寝1時間前にはスマホはやめること
(3)生活習慣では、「デジタル・デトックス」を勧める。具体的には、睡眠前にスマホやタブレットを遠ざけること。「スマホのブルーライトを浴びると、交感神経が過敏になり、入眠しにくく、熟睡ができないことで知られています。入眠後の最初の3時間で集中的に分泌される成長ホルモンが出にくいのです。また、ブルーライトによりメラトニン分泌量が落ちると、肌にもよくありません。できれば、就寝1時間前にはスマホを見るのをやめることです。3歳と5歳の子供がいる我が家では、夜中のWi-Fiをオフにしています。私は長時間のパソコン作業の時もブルーライトカットのメガネをかけています」。ほかにも、水を飲む習慣をつける、ちょっとした距離を歩き、階段を使うことも心がけている、という。
最後は(4)美容医療だ。シミやイボは、老けて見える原因になる。「これはセルフケアでは対処できません。例えば、当院の場合は4ミリ程度のイボなら、1万円程度で取ることができます。これは特に女性に多いのですが、シミ取りのために何万円もする美容液を使うのは、効果だけを見た場合もったいないと思います。レーザー治療をすると、3~6か月はダウンタイム(赤みや色素沈着など)を認める場合がありますが、1年後には比較的きれいに取れることが多いです」。
最近では、ひげやムダ毛の脱毛も流行っているが、エステを利用する人もいるだろう。「エステも医療も脱毛の仕組みは一緒ですが、機械や施術の質には違いがあります。病院の機械は厚労省の薬事承認が得たものが多く、これは医師や看護師の資格を持ってないと使えません。出力を上げられる上、安全性も担保されます。脱毛では、よく『痛くないですか』と聞かれますが、脱毛は毛根の周囲を熱で焼いて処理するので、多少の痛みは伴います」と西嶌医師。
男性特有の悩みとしては「AGA」(男性型脱毛症)もある。ミノキシジルは発毛効果があることで知られている。「臨床では、塗るよりも内服が、効果があります。ただ本当の話をすると、日本皮膚科学会はミノキシジルの内服は推奨していません。ミノキシジルはもともと血圧を下げるための薬として開発されましたが、多毛症などの副作用があり、日本では認可されていません。脱毛症に対しても、利益と危険性が十分に検証されていないため認可はされていません。ですので、ミノキシジルを内服する場合は、定期的な医師の診察や副作用の確認は非常に需要です。ミノキシジルで毛を生やして(発毛)、プロペシアで毛を抜けないようにする(育毛)のステップがオススメです。最初の1か月半から2か月では毛が抜けますが、その後、周期サイクルが整ってくる3か月後くらいから発毛を実感できる人が多いです」。
筆者は今年54歳になるが、右目の下3ミリ程度のシミが気になっていた。取材後、診療を受け、数分のレーザー手術で除去してもらった。これは保険の効かない全額自己負担になるが、手術料金は1万円ちょっと。その効果に期待したい。イボやシミの場合、病名がつく場合、保険適用になることもあるそう。悩んでいる人はまずは医師の診断を受けてみるのもよいだろう。本では、遺伝に負けない薄毛対策、加齢に逆らうニオイ対策、肌を若々しく整える腸活なども解説。多数の「最短にして最大限」の効果を出す方法が書かれている。
□西嶌暁生(にしじま・あきお)1984年7月7日、富山県出身。医学博士・形成外科専門医・経営修士(MBA)。2011年、福井大学医学部医学科を卒業、医師免許を取得。つくばメディカルセンター病院で初期研修。13年に筑波大学の形成外科に入局し、創傷治癒、外傷、再建、美容外科及び美容皮膚科を専門とする臨床医として従事し、19年、筑波大学大学院博士(医学)課程修了。筑波大学附属病院の病院講師として、研修医や医学生の教育を担当する。医療法人道心会恵比寿形成外科・美容クリニック勤務。20年、英国国立アングリア・ラスキン大学経営修士課程修了。