「ときメモ」「桃鉄」「グラディウス」…“昭和・平成”懐かしの名作集めた「PCエンジン」復刻のワケ
令和の新時代に、昭和後期に発売され、平成初期の名作を多く集めた家庭用ゲーム機が復刻される。1987年に発売された「PCエンジン」をコンパクトなサイズで再現し、当時の作品から58タイトルを厳選した「PCエンジン mini」だ。89年にリリースの「PC原人」や高橋名人のキャラバン大会で有名な「スーパースターソルジャー」、恋愛ゲームの金字塔「ときめきメモリアル」など名作がズラリ。「ゲームに夢中だった大人たちへ」と銘打ったリバイバルのテーマの一つが「おもしろおかしく再現」することだ。仕掛け人に復刻の舞台裏を聞いた。
高橋名人で有名な「スーパースターソルジャー」、「ときめきメモリアル」、「スーパー桃太郎電鉄II」など名作ズラリ
令和の新時代に、昭和後期に発売され、平成初期の名作を多く集めた家庭用ゲーム機が復刻される。1987年に発売された「PCエンジン」をコンパクトなサイズで再現し、当時の作品から58タイトルを厳選した「PCエンジン mini」だ。89年にリリースの「PC原人」や高橋名人のキャラバン大会で有名な「スーパースターソルジャー」、恋愛ゲームの金字塔「ときめきメモリアル」など名作がズラリ。「ゲームに夢中だった大人たちへ」と銘打ったリバイバルのテーマの一つが「おもしろおかしく再現」することだ。仕掛け人に復刻の舞台裏を聞いた。
「あの当時の思い出をそのまま詰め込んでいます。ゲームの歴史の原点についても知ってもらえるのではないでしょうか」
「PCエンジン mini」の制作に携わったコナミデジタルエンタテインメントの吉室純ディレクターは、こう熱っぽく語る。最大5人同時プレーが可能になるマルチタップなど周辺機器も含めて、日本では3月19日に発売開始。北米版、欧州版の復刻発売も予定している。
さかのぼること33年前、1987年10月30日に「PCエンジン」は世に送り出された。当時としては革新的な仕様。ドット絵の職人技が光る512色のグラフィック、「ピコピコ音」ではなく、CDや生演奏などの音源を駆使したサウンド、テレビゲームでは初めてCD音声で声優の声を再生している。「天外魔境 ZIRIA」の音楽では坂本龍一氏、「天外魔境II 卍MARU」では久石譲氏が担当するなど、著名な音楽家がゲーム音楽を担当したゲーム機である。またシューティングゲームの名作が多く、進化を続ける現在のゲームの“原点”の一つといえる。
今回の「mini」には、「スーパー桃太郎電鉄II」「ボンバーマン’94」などの定番から、「THE 功夫」「ギャラガ’88」といった、昔懐かしく、幅広いジャンルのタイトルが収録されている。そのこだわりようは“ハンパない”。当時のブラウン管テレビの画面イメージを、現代の液晶パネルに対応させて忠実に再現。スクリーン設定を変更でき、携帯型ゲーム機「PCエンジンGT」の枠だけを再現したイメージも楽しめる。
当時のソフトとして使用されたカートリッジ「HuCARD」と「CD-ROM」を差し込む「カチャ」の音や、起動する際の音を、わざわざスタジオで録音して使用。また、アーケードゲームとしての誕生から35周年を迎えた「グラディウス」の“コナミコマンド”といった裏技もしっかりと反映している。ハード面では、パッドの手触り感を重視。少年・少女時代を思い起こさせるような粋な仕掛けが散りばめられている。
“あの頃”夢中だった世代、いまは40代から50代初め…若者には「ゲームの原点を知ることができる」
リバイバルの背景には、近年のレトロゲームへの脚光がある。2016年、任天堂が「ファミリーコンピュータ」の復刻版を発表すると、続いて18年にソニー・インタラクティブエンタテインメントが「プレイステーション」をリバイバル。昨秋にはセガゲームスが「メガドライブ」を復刻した。
かつて「PCエンジン」に夢中になった子供たちは、いま40代から50代初めの世代になった。吉室ディレクターは「当時遊んでいた人たちが大人になり、もう1度ゲームを楽しむ機会が増えてきています。それに、ゲームが複雑化・高度化する中で、昔のゲームに関心が寄せられています。懐かしいと思ってもらうだけでなく、ボンバーマンや桃鉄など現在も続いている新作タイトルも遊んでもらえれば」と説明する。さらに、当時を知らない若年層に向け、「若い世代にもいろいろなタイプのゲームを楽しんでもらえるはず。ゲームの原点やソフトの歴史を知ることのできるいい素材であるとも思っています」と話す。
そもそも、幼少期から「PCエンジン」が大好きでKONAMIに入社を決めたという吉室ディレクター。今回のプロジェクトに関わった他業界のメンバーと思い出話に花を咲かせたといい、「まさか自分が関わることができるとは思わなかった」と感動を分かち合ったという。さらに、当時の開発・制作の一翼を担ったベテラン社員やOBを訪ね、思い切ったチャレンジを繰り返してものづくりにはげんだ様子やエピソードを聞き取った。あるOBからの「お客様に楽しんでもらえるよう、しっかり仕事をしてほしい」とのメッセージを胸に刻んだ。制作側にとっても「技術伝承」の機会になったという。
当時、シューティングゲームの全国大会「キャラバン」が開かれ、子供たちは腕前を競っていたという。「mini」には現代ならではの楽しみ方があり、SNSでスコアを報告することで、多くのユーザーと「スコア競争」ができることも魅力の一つだ。それに、実は「PCエンジン」は、国内版だけで約650、海外版を含めると約800ものタイトルがあるという。今回選ばれたのは、58タイトルだ。吉室ディレクターは「売れたら、次も作りたいです」と笑う。“あの頃の夢”はもっと広がりそうだ。
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