「シン・ウルトラマン」で注目の公安調査庁を独占取材 盗聴器の気配に「安心してください」
公安調査庁は法務省、公安警察は警察庁の管轄でまったくの別組織
よく混同されがちだが、公安調査庁は法務省、公安警察は警察庁の管轄で、それぞれがまったくの別組織だ。「名探偵コナン」の安室透や「攻殻機動隊」の公安9課は公安警察で、「相棒season20」の最終回で反町隆史演じる冠城亘が特命係から移動した先が公安調査庁、「シン・ウルトラマン」ではそれぞれ斎藤工演じる主人公の神永新二が公安警察、長澤まさみ演じる浅見弘子が公安調査庁からの出向となっている。調査対象がしばしばバッティングするため、フィクションの世界では仲が悪いという設定がお決まりの両組織だが、実際のところはどうなのか。
「どうなんでしょう。長い歴史の中ではそういうこともあったのかもしれませんが、特別仲が悪いということはないでしょう。まあ、フィクションの場合は仲が悪いことにした方がストーリーは面白くなるでしょうね」
公安警察は捜査権や逮捕権といった強い権限が与えられているが、公安調査庁はその限りではなく、あくまでも調査・報告をするだけの機関に過ぎないという。
「情報収集は任意で、強要も違法行為もできませんし、カーチェイスができるような緊急車両も持っていません。情報提供してくれる協力者の方と地道に信頼関係を築き上げていく仕事で、その点では記者さんと一緒。信頼関係を築く具体的な方法? それはまあ、いろいろです」
例えるなら、「国営特命記者」とでもいった表現が妥当な公安調査官。では、その強みとはどういったものなのか。
「一言でいえばヒューマン・インテリジェンス、ヒューミントですね。これまで培っていた人間関係や情報網で、国内外のさまざまな情報に迅速にアクセスできる体制を常に整えています。起きた事象に対して、ごく短時間で情報を得られるくらいの機動性がありますが、究極の目的は事象が起こる前にそれを察知すること。関係省庁と連携しつつ、危機を未然に回避するのが我々の仕事なため、なかなか国民の皆さまには伝わりづらい部分もありますが、今後もツイッターやYouTubeなどを活用し、分かりやすく発信していければと思っています」
最後にどうしても気になったので、今回の取材にあたり、筆者の個人情報も調べ上げたのか聞いてみたが、「そうした調査をすることはありませんよ。その気になれば簡単に調べられる? さあ、どうでしょうか(笑)」とのこと。公安調査官は日本中のあらゆるところ、もしかしたら我々のすぐ身近なところで、今日も国家の安全を守っているようだ。