ゴキブリ、名前の由来は? 昆虫博士が教える意外なルーツと最強の撃退法

昔ながらのホウ酸ダンゴは耐性を持ったゴキブリが出ることもなく有効

 ゴキブリをめぐっては「1匹いると200匹はいる」「危険を察知すると卵をばら撒く」などの都市伝説もあるが、これらは「概ね本当で、むしろ実際は都市伝説以上」だという。

「クロゴキブリは通常30~100匹ほどのコロニーを作って生活しており、そのうちのメス1匹が約500~700匹の子を生みます。1匹いたら200匹程度はまずいると思っていい。危険を感じると卵を落とすのはチャバネゴキブリで、卵が36匹入ったシェルターを切り離し、これは殺虫剤をかけても中の赤ちゃんゴキブリは死にません。『生きたゴキブリを食べると卵が孵化してお腹の中を食い破られる』という都市伝説もありますが、これはさすがにないです。ただ、病原菌の宝庫なので生で食べる行為が非常に危険なことは変わりません」

 知れば知るほどおぞましい生態だが、家庭でできる最も効果的な対策は何なのか。大手製薬会社からは毎年のように強力な殺虫剤が新発売されているが、タニサケでは30年以上変わらずホウ酸ダンゴを使ったゴキブリキャップのみを販売している。その理由は、ホウ酸こそゴキブリ駆除に必要十分な効果があるからだ。

「一番簡単で効果が高いのは、水を断つこと。ゴキブリは昆虫の中でも水を求める性質が強く、ホウ酸中毒で下痢やおう吐を繰り返し脱水症状になると、水を求めて外に出ていき、そのまま屋外で死にます。これが毒性の強すぎる殺虫剤だと、その場で死骸が残ってしまう。また、化合物を使った殺虫剤では世代交代するうちに耐性を持ったゴキブリが出てきますが、ホウ酸は無機物なのでそういったこともありません。近年は耐性ゴキブリと強力殺虫剤のイタチごっこで、サリンと同じ神経毒など、自殺目的で購入できてしまうほど強い商品も出ている。ゴキブリ駆除にはホウ酸ダンゴで十分です」

 この他、ダクトや配管の隙間、玄関ドアの下の隙間など、物理的に侵入経路を塞ぐこと、卵や幼虫が潜んでいる可能性が高い段ボールを室内に置かないこと、電灯を紫外線量の多い蛍光灯からLEDに替えることも、外から誘引を防ぐ効果があるという。2016年以降に建てられたマンションでは防虫防鼠構造が採用されており、ゴキブリキャップと併用することで嫌な“G”を見ずに済む快適な暮らしが送れそうだ。

次のページへ (3/3) 【写真】閲覧注意……主に森に生息する日本固有種のヤマトゴキブリ
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