順風満帆だった元テレ東・佐久間宣行Pが退社したワケ 管理職への打診と現場へのこだわり
「佐久間宣行のずるい仕事術 ―僕はこうして会社で消耗せずにやりたいことをやってきた」(ダイヤモンド社)が発売1か月で10万部を突破したプロデューサー佐久間宣行氏(46)。テレビ東京では「ゴッドタン」などの人気番組を生み出したが、昨年3月に円満退社し、現在はフリーの立場で、さまざまコンテンツで大ヒットを飛ばしている。あらためて、テレ東時代を振り返ってもらった。
「佐久間宣行のずるい仕事術」が発売1か月で10万部突破 佐久間氏に聞くテレ東時代
「佐久間宣行のずるい仕事術 ―僕はこうして会社で消耗せずにやりたいことをやってきた」(ダイヤモンド社)が発売1か月で10万部を突破したプロデューサー佐久間宣行氏(46)。テレビ東京では「ゴッドタン」などの人気番組を生み出したが、昨年3月に円満退社し、現在はフリーの立場で、さまざまコンテンツで大ヒットを飛ばしている。あらためて、テレ東時代を振り返ってもらった。(取材・文=平辻哲也)
「ずるい仕事術」はテレビ東京「ゴッドタン」「あちこちオードリー」などで知られ、昨年、テレビ東京を円満退社した佐久間氏が20年以上、サラリーマン時代に培ったノウハウを集めた異色のビジネス書だ。
「数年前からインスタのDMに『やりたいことが見つからない』『やりたいことはあるけど、組織の中の人間関係がうまくいきません』『消耗しちゃってもう会社に行きたくないです』などの人生相談があって、僕が答えてきたものをまとめておいたんですよ。今はもう数が多くて答えられないですが、それがベースになって書けたんです」
飛ぶ鳥を落とす勢いの佐久間氏だが、身の処し方に悩んだ時期もあった。一番大変だったのは演歌番組のチーフADやペット番組のスタートを任された30代前半。「自分ができることがようやく見えてきてチャレンジしたかった時期に、僕が向いてなさそうなジャンルの仕事に回されたり、異動の打診が来たりしました。そんなときでも、仕事をしてみたいキャストと関係を作ったり、自分の経験を増やそうと動いていましたね」と振り返る。
その後、自身が本来、やりたかったお笑いバラエティー番組を任されるようになり、「ゴッドタン」や子供向け番組「ピラメキーノ」などが大ヒット。それは佐久間氏が世帯視聴率というゲームに巻き込まれず、自分なりのKPI(重要業績評価指標)を持っていたからだ。うれしかった出来事は山ほどある。
「『ゴッドタン』では、さいたまスーパーアリーナで満員のライブをやれたし、『ピラメキーノ』のイベントでは土砂降りの中、家族の方が大勢集まってくれた。『ゴッドタン』ではレギュラーになるか分からない大事な時期に、キス我慢選手権という企画が生まれた。『どうか話題になってくれ』と願っていたら、実際に話題になってDVDも売れ、そのおかげでレギュラー化が決まった」と振り返る。悩める若者には、「苦労する時期に、組織でのスタンスの取り方やチームの組み方など、自分なりの仕事術のとっかかりを見つけておくと、その後の人生がめちゃくちゃ楽になって楽しくなる可能性も大きい。諦めないでほしいなと思います」と話す。
後半のテレ東時代は順風満帆。正社員でありながら、ニッポン放送の看板番組「オールナイトニッポン0(ZERO)」のパーソナリティーも任された。それでも退社を選んだのは管理職への打診と、現場へのこだわりだった。「左遷されて辞める人はいるかもしれないけど、逆ですよね。昇進してから辞めると、ご迷惑かかると思って先に辞めました。クリエイティブ以外に時間を取られるのは性格的に無理だろうとも思ったので。辞めて1年では時期尚早だと思いますが、自分の決断を自分の手で正しいものにしていこうと考えています」と未練はない。
退社後も、引き続き、「ゴッドタン」や「あちこちオードリー」を担当する中、新たに開設したYouTubeチャンネル「佐久間宣行の NOBROCK TV」も人気を集めている。
□佐久間宣行(さくま・のぶゆき)1975年11月23日、福島県いわき市生まれ。テレビプロデューサー、演出家、作家、ラジオパーソナリティー。「ゴッドタン」「あちこちオードリー」「ピラメキーノ」「ウレロ☆シリーズ」「SICKS~みんながみんな、何かの病気~」「キングちゃん」などを手がけ、YouTubeチャンネル「NobrockTV」ラジオ「佐久間宣行のオールナイトニッポン0(ZERO)」など多方面で担当。2021年にテレビ東京を退社し、現在はフリー。3月にはNetflixにてオリジナルバラエティー「トークサバイバー」を配信しランキング1位を達成。4月には初のビジネス書「佐久間宣行のずるい仕事術」を出版。