パリダカに50歳から参戦で3回完走の75歳 “世界一過酷”レースは「そんなでもないよ」
「北朝鮮との国境まで行ったこともあるんだよ」
体を鍛えることにも余念がなく、趣味のロードバイク(自転車)では当時、藤沢から三浦半島を回ったり、熱海まで遠征するなど、1日100キロを走ることもあったという。自転車走行では過去にとっておきの思い出があるそうで、「韓国に旅行に行った際に、ロードバイクであちらこちらを回ってさ、北朝鮮との国境まで行ったこともあるんだよ」と、豪快に笑う。
モンゴル開催のラリーレースでも縦横無尽に駆け回った。07年~14年の計8回のエントリー。ラリー用に特別にチューニングされた64馬力の「ジムニー JB23W-9型」は、歴史館の2階に鎮座している。
ポルシェやベンツの高級外車にも乗ったが、やっぱりジムニーが大好き。「本当にこれまで、この車を通していろいろな経験をさせてもらった。パーツも工夫して考えていろいろ作って。いつまでも面白いんだよ」。表情がなんとも楽しそうだ。
レース出場はお休み中だが、「トヨタやニッサンといった有名メーカーの車に、小さなジムニーで勝つ。これが誇らしくて誇らしくて。また走りたい。自分で車を作って走らないと、面白くないんだよ」。夢は広がり続けている。
□尾上茂(おのうえ・しげる)、1947年、神奈川県藤沢市生まれ。自動車専門学校を卒業後、22歳の時に自動車の整備・販売会社を設立。82年から主にジムニー、エスクードで国内外のラリーレースに参加。97年に初参加のパリダカは3回完走を誇る。2018年に開館した「ジムニー歴史館」館長のほか、ジムニー専門店「アピオ株式会社」会長を務める。
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【写真】ラリー用の特別仕様「ジムニー JB23W-9型」のクールな車体