パリダカに50歳から参戦で3回完走の75歳 “世界一過酷”レースは「そんなでもないよ」
スズキ・ジムニーに夢中になり、私設博物館である「ジムニー歴史館」(神奈川県藤沢市)を作った尾上茂さん(75)は、根っからのラリー愛好家でもある。世界一過酷と言われる、パリ・ダカールラリー(通称パリダカ、現ダカールラリー)を9度も走った“鉄人”の半生とは。
「危険な経験もいっぱいあったよ」 私財を投じて「ジムニー歴史館」をオープン
スズキ・ジムニーに夢中になり、私設博物館である「ジムニー歴史館」(神奈川県藤沢市)を作った尾上茂さん(75)は、根っからのラリー愛好家でもある。世界一過酷と言われる、パリ・ダカールラリー(通称パリダカ、現ダカールラリー)を9度も走った“鉄人”の半生とは。(取材・文=吉原知也)
約2週間かけて、砂漠や荒野など約1万キロのコースを走って競う同レース。現在は中東サウジアラビアで行われている。気力・体力ともに困難を極めるとされるが、「そんなでもないよ。現地に船で車を送って費用は300万円ぐらいかかる。それはつらかったけどね」ときっぱり。50歳からの参戦で、3回も完走したというのだから、驚きだ。
22歳の時に自ら自動車整備・販売業を立ち上げた尾上さんは、1981年、34歳の時に初めて買った“小さな四輪駆動車”ジムニーに魅了され、86年にジムニー専門店に転換させるなど、ファンの間で「ジムニーマイスター」と呼ばれる存在に。4年前に、私財を投じて念願の「ジムニー歴史館」をオープンさせた。最初に手に入れた「ジムニー SJ30-1型」や自らレストアした「ジムニー LJ81」、実際のラリーカーなど、“その車に歴史あり”の約29台が展示されている。
82年から国内のオフロードレースにジムニーの改造車で参加。ラリードライバーとして名を上げるようになる。国内で「鍛えて」、海外挑戦も貪欲に。オーストラリア・サファリには89年から95年まで市販車改造部門にスズキ・エスクードで参戦し、5度のクラス優勝、95年には総合6位入賞を果たす。
そして、向上心は止まらず、パリダカには97年から2005年まで9回連続で出場。主にプライベートチームでの参加で、エスクードを駆り、00年、03年、04年で計3回の完走を達成した。「途中で車が壊れてリタイアしたこともあって。危険な経験もいっぱいあったよ。あれはどこだったかな、川を渡る時に、現地の何者かに石を投げられたりね」と懐かしむ。