【電波生活】「徹子の部屋」は反省会なし 番組P明かす黒柳徹子のこだわり、私物セットで収録時間は30分
人気番組や注目番組の舞台裏を探る企画。今回は黒柳徹子が司会を務めるテレビ朝日系「徹子の部屋」(毎週月~金曜、午後1時)。1976年にスタートし、今年47年目となる長寿番組。約20年番組に携わってきたプロデューサー・田原敦子さんに黒柳の番組へのこだわり、素顔や魅力、元気の秘密を聞いた。すると黒柳が必ず午後10時就寝する理由や番組に浸透する民主主義など興味深い話が次々に飛び出した。
田原敦子プロデューサーが明かす番組の舞台裏と黒柳の素顔
人気番組や注目番組の舞台裏を探る企画。今回は黒柳徹子が司会を務めるテレビ朝日系「徹子の部屋」(毎週月~金曜、午後1時)。1976年にスタートし、今年47年目となる長寿番組。約20年番組に携わってきたプロデューサー・田原敦子さんに黒柳の番組へのこだわり、素顔や魅力、元気の秘密を聞いた。すると黒柳が必ず午後10時就寝する理由や番組に浸透する民主主義など興味深い話が次々に飛び出した。(取材・文=中野由喜)
「ジャイアント馬場さんから教わったというスクワットを毎晩やっているそうです。昔、大腿骨を骨折したことがあったのですが、わりとすぐに復帰できたのは日頃のスクワットのおかげだと思います。毎晩、50回やっているそうです。あとは食欲。お肉が大好きです。コロナ禍前、よくスタッフと一緒に焼肉店に行きましたが一番多く食べます。そして早い。よくしゃべっているのに、どんどん食べます」
もう一つ気になるのは頭脳明晰なこと。
「成長ホルモンが夜10時から深夜2時ぐらいまでに最も出ると言われているそうで、成長ホルモンを出すために、夜は10時までには何が何でもいったん寝ているそうです。もし、やることがあったら、その後、深夜3時とかに起きて勉強していると言っていました。黒柳さんはまだ成長するんです!」
オンとオフの切り替えやポジティブな姿勢も並大抵ではないという。
「『お母さんの体内に反省という言葉を置いてきた』とよく話しています。つまり失敗しても反省はしない。常に前を向く、前に行くという意味。スタッフが失敗すると『反省しなくていいのよ。次に行けばいいんだから』と言っています。おかげでクヨクヨせずに済んでいます。だから、うちの番組は反省会をしないんです(笑)」
番組の舞台裏が気になってきた。ゲストはどう選考しているのか。
「うちは何でも民主主義です。黒柳さんから言われていることですが、プロデューサーが偉いということは絶対になく、プロデューサーもADも入ってきたばかりの人もみんな同じだと。ゲストをどなたにするかは、最終的に黒柳さんに提案する流れではありますが、最初は黒柳さんを抜いた全員でプレゼンします。私の提案もバツと言われることもあります」
他にも民主主義を感じる場はあるのだろうか。
「頂きものでお菓子などをもらうと、あみだくじで好きなお菓子を決めるのがルール。ある絵本作家の方が作ってくれたあみだくじがあり、名前を書けばいいだけになっています。黒柳さんは、あみだくじを見た目からか『ザンザン』と呼んでいます。クリスマスのプレゼント交換も1人1000円以内の物を買ってきて『ザンザンやりましょう』と言っています。あと、コロナ禍前のことですが、スタッフとプライベートで海外旅行に行く際は黒柳さんもみんなと同じエコノミークラスの座席です。旅先の移動もみんなと同じバス。黒柳さんが点呼を取ったりして先生みたいなんです。食事もみんなに取り分けてあげて自分のことを“分配の女王”と言っています(笑)」
黒柳の番組へのこだわりも聞いてみた。
「生放送時代に育ってきた人なので生放送と同じように撮っています。一般的に1時間の放送枠の番組には収録に2時間ほどかかりますが、『徹子の部屋』は放送時間枠(約30分)通りに撮影します。たくさん撮って編集でまとめるという作業をしません。CMの入るタイミングでは、じゃあ、今からCMですと言ってCMの時間を取って撮影しています。理由は、いろいろお話をしていただいたことを切ってしまう、捨ててしまうのはゲストの方にとても失礼だという黒柳さんの思いから。全部使いましょうということで始めています」
こだわりはまだまだある。
「服にピンマイクを付けていません。ゲストの方もせっかくきれいな衣装で来てくださっているので、という理由です。照明も『徹子の部屋』はどの番組よりも顔がきれいに映るようにしてあげてほしいと言われています。ライティングにもすごくこだわっています。あと、スタジオ内は純粋なセットではないんです。『徹子の部屋だから私の好きな物で飾らないと変でしょ』とおっしゃって、お花以外、使用している絵(堀文子さんの『アフガンの王女』)や与勇輝さんの人形、水谷豊さんから頂いた馬の置物、本や皿などすべて黒柳さんの私物です。ご自宅からお持ちいただいたお気に入りの品。一応、東京から1時間半から2時間くらい離れた郊外の別邸というイメージで作っています」
最後に黒柳への思いを聞くと「100歳になったら政治記者になりたいそうですが、番組も並行してやってほしいです。私たちは司会が黒柳さんだから、黒柳さんと仕事をしたいから頑張ろうと思っています」と話した。番組は半世紀近い歴史を持つが、黒柳の他局のレギュラー番組も40年近い長寿番組だ。視聴者だけでなく、スタッフから強く深く愛されているからなのだろう。