尚玄が驚いたフィリピン巨匠の斬新演出 プロ相手のボクシングシーンは「あざが残った」

俳優の尚玄が、フィリピンの巨匠ブリランテ・メンドーサ監督とタッグを組んだ日本・フィリピン合作映画「義足のボクサー GENSAN PUNCH」(6月10日全国公開)の試写&会見が11日夜、東京・丸の内の公益社団法人日本外国特派員協会で行われ、尚玄、山下貴裕プロデューサーが登壇した。

「義足のボクサー」会見に出席した尚玄(左)と山下貴裕プロデューサー【写真:ENCOUNT編集部】
「義足のボクサー」会見に出席した尚玄(左)と山下貴裕プロデューサー【写真:ENCOUNT編集部】

「前例のない挑戦でした」と撮影を回顧

 俳優の尚玄が、フィリピンの巨匠ブリランテ・メンドーサ監督とタッグを組んだ日本・フィリピン合作映画「義足のボクサー GENSAN PUNCH」(6月10日全国公開)の試写&会見が11日夜、東京・丸の内の公益社団法人日本外国特派員協会で行われ、尚玄、山下貴裕プロデューサーが登壇した。

 義足のため日本でプロの夢を絶たれた土山直純がフィリピンでプロボクサーを目指す実話の映画化。尚玄が山下氏に企画提案し、構想から8年がかりで実現。「キナタイ -マニラ・アンダーグラウンド-」(09)で第62回カンヌ国際映画祭監督賞を受賞したメンドーサ監督がメガホンを取った。

 会見では特派員から熱心な質問が飛んだが、役作りについては「(土山とは)10年以上の関係の中で少しずつ話してもらえた。映画は脚色している部分もあって、監督は、僕自身の人生も掛け合わせた。僕も、俳優をやりたいと沖縄から出てきたが、僕は日本人に見えないので、『君の役はない』と言われた。それでも諦めずにニューヨークに行って、オーディションで役を勝ち取っていったので、直純君にシンパシーを感じていた。日本では、俳優が映画を立ち上げることはないので、前例のない挑戦でした」と振り返った。

 メンドーサ監督は出演者に脚本を渡さず、その場でセリフを伝え、演出するスタイル。「まずはお互いに普段、言わないような生い立ちのことを話し、信頼関係を作っていきました。役については話し合い、キャラクターはできていたので、後は瞬間瞬間を生きるだけ。俳優というものは、準備しないと怖いのですが、その場にいて、芝居をしないことを心がけた。俳優の根本に立ち返った気がします」と明かした。

 本格的な肉体改造、トレーニングを重ね、ボクシングシーンに臨んだが、記者からは「振り付けもなくて怖くなかったか」との質問も。尚玄は「僕も『アクションコーディネーターはいるのか』と聞いたが、(監督は)『ノープロブレム』としか言わない(笑)。僕以外はプロだったが、『強すぎないでいいから、当てて』といい、実際に当たって、僕の顔にもあざが残ったことがあった。その緊張感が伝わっていたら、うれしいです」と話した。

 映画は、同年の釜山国際映画祭アジア映画の窓部門ではキム・ジソク賞に輝き、米ケーブルテレビのアジア部門「HBOアジア」が配給権を獲得。日本では映画として公開されることに、尚玄は「心の会話がつまった作品なので、ビッグ・スクリーンで見ていただけば。母国で公開できることをうれしく思っています」と胸を張った。

 同映画は27日に沖縄で、6月3日にTOHOシネマズ日比谷にて先行公開され、その後10日より全国公開となる。

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