平均年齢68歳のシニアeスポーツチーム 仲間と切磋琢磨、「孫と対戦できる」喜びも
“eスポーツ”という言葉には、どうしても「若者の世界」とのイメージも強いだろう。実際、競技シーンのトップを走るプロは20歳前後が圧倒的に多く、20代後半ともなれば相当なベテランとして扱われる。そんな中、アマチュアとしてシニア世代がeスポーツに真剣に取り組んでいるのが秋田県eスポーツ協会所属の「マタギスナイパーズ」だ。正規枠の選手は65歳以上のシニア世代という異色のチーム、その現在地に迫った。
「マタギスナイパーズ」のコンセプトは「孫にも一目置かれる存在」
“eスポーツ”という言葉には、どうしても「若者の世界」とのイメージも強いだろう。実際、競技シーンのトップを走るプロは20歳前後が圧倒的に多く、20代後半ともなれば相当なベテランとして扱われる。そんな中、アマチュアとしてシニア世代がeスポーツに真剣に取り組んでいるのが秋田県eスポーツ協会所属の「マタギスナイパーズ」だ。正規枠の選手は65歳以上のシニア世代という異色のチーム、その現在地に迫った。(取材・文=片村光博)
「マタギスナイパーズ」に所属する選手は、65歳以上の正規枠が12人(男性9人、女性3人)、60~64歳のジュニア枠が2人(男性1人、女性1人)。正規枠は65歳から73歳で構成され、平均年齢は68歳となる。「孫にも一目置かれる存在」をコンセプトに、2021年9月に結成された。
ゲーム歴は選手によってまちまちだが、ほぼ全員が初心者。現在取り組んでいるタイトルである「Apex Legends」「Fotrnite」「VALORANT」のような本格FPS(シューティングゲーム)はもちろん、PCゲーム自体がほぼ初めてで、PCの電源オンオフから始まったという。
座学も取り入れながら基礎練習を積み、チームを運営する株式会社エスツーの総務部長・緒方無双氏によると、現在は「普通にゲームができるレベル」まで到達。上達の余地を多く残しており、「強いチーム」を目指しつつも、まずは「愛されるチーム」となることを掲げている。
シニア世代にとって、これまで触れてこなかったジャンルのゲームに“競技”として取り組むことは決して容易ではないだろう。その中でも挑戦する意義として、選手からは「真剣にやれるものに巡り会えてよかった」という言葉があったと、緒方氏は明かす。年齢のため仕事をリタイア済みの選手も多く、eスポーツこそが新たに情熱を注ぐ対象となっているようだ。
また、同じく選手からは「仲間と活動できる」「孫と対戦できる」「新しい経験」という要素が、活動の楽しさとして挙げられるという。「仲間と活動できる」「孫と対戦できる」は、複数人でのプレイが前提のオンラインゲームで顕著な側面だ。特に“孫との対戦”は、リアルスポーツでは年齢差のある状況だとなかなか本気でぶつかり合えないだけに、貴重な機会となっていることがうかがえる。