亀田大毅、引退から7年 視力0.1でのトレーナー挑戦「僕にしか伝えられへんことがある」

亀田三兄弟の次男で、ボクシングの元世界2階級王者・大毅さん(33)は今、トレーナーとして後進の指導に当たっている。26歳という若さでの現役引退からはや7年、次なる夢に向かって歩き出した“浪速の弁慶”を直撃した。

トレーナー挑戦について語る亀田大毅氏【写真:山口比佐夫】
トレーナー挑戦について語る亀田大毅氏【写真:山口比佐夫】

網膜剥離での引退から7年、トレーナーとして後進を指導

 亀田三兄弟の次男で、ボクシングの元世界2階級王者・大毅さん(33)は今、トレーナーとして後進の指導に当たっている。26歳という若さでの現役引退からはや7年、次なる夢に向かって歩き出した“浪速の弁慶”を直撃した。(取材・文=角野敬介)

 フライ級(50.8キロ)、スーパーフライ級(52.1キロ)で戦っていた現役時代より幾分、ふっくらした大毅さん。表情も柔和になったが、リングで戦うボクサーに送る視線はやはり鋭い。

 ボクシングの枠を超え、社会現象となった「亀田兄弟」。次男の大毅さんはWBA世界フライ級、IBF世界スーパーフライ級の2階級制覇を成し遂げ、34戦29勝(18KO)5敗の成績を残した。2015年9月の試合を最後に引退。その後はタレント活動などもしながら、昨年9月からは兄・興毅さんが会長を務める「3150ファイトクラブ」のトレーナーに就任。グラブをミットに付け替え、次世代のチャンプの育成に当たっている。

「僕にしか伝えられへんことあるから、普通のトレーナーでは伝えられないと思うんですよ。僕はトレーナーというよりは、トレーナーのトレーナーという感じ。(選手に)へばりついては教えられないですけど、3150ジムでもトレーナーとよく話しますよ。『ええやん』『どういうトレーニングしてんの?』『ちょっと早いんちゃう?』とか。選手にもね、練習見てたらアドバイスはしますけど、ワンポイントですね」

 現役時代から大毅さんは不器用だった。長男・興毅さんが持っていたクレバーさ、三男・和毅のようなボクシングセンスはない。愚直に努力を重ね、ベルトを巻いた。言わば“努力の人”だ。

「僕は小さい時からずっと、覚えがいいほうじゃなかった。だから具体的に選手に対して伝えられるのかもしれませんね。できない時間も長かったから。こういう伝え方したらこいつ分からへんのか、だったら違う角度から教えようかとか」

 自身のYouTube(亀田興毅×亀田大毅の3150チャンネル)では時折、指導シーンを公開している。伝える言葉は明確でストレート。視聴者からも「教え方がわかりやすい」という声は少なくない。

 亀田家のトレーナーといえば父・史郎さんのイメージが強いが、「親父とは違うね」と言い切る。「僕しかわからないこともある。親父(の指導法)と被っているところは気持ちの面かな。試合中の喝の入れ方とかね。しんどい時はわかるんですよ。僕がそうやった。技術的なことなんか言われてもすぐには絶対変わらないから、奮い立たせて、息を吹き返させんとあかんから」。

 セコンドのトレーナーからの一声で甦ることもあったと振り返る。では大毅さんが思う、トレーナーに求められる資質とはなんだろうか。

「(選手がトレーナーを)ずっと尊敬してないと成り立たない。だからトレーナーは上の立場にならないといけない。舐められたら終わりなんですよ」

 選手からリスペクトされるような存在にならなければ、選手の助けになれるはずがないということ。

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