つぶやきシロー、金や仕事に執着ナシ 全盛期の年収は「すごかったんじゃないですか」

「一生懸命生きた時期があったのはラッキー」とボキャブラ時代を振り返ったつぶやきシロー【写真:ENCOUNT編集部】
「一生懸命生きた時期があったのはラッキー」とボキャブラ時代を振り返ったつぶやきシロー【写真:ENCOUNT編集部】

ボキャブラ当時の年収は「すごかったんじゃないですか。明細は見てないですよ」

 小説第2弾の「私はいったい、何と闘っているのか」(16年)は、理想と現実の間で苦悶するスーパーマーケットの万年主任の45歳の主人公が脳内で格闘するコメディー。昨年末、安田顕主演で映画化もされた。

「これも、話をもらってから、半年はほったらかし。最初に、娘が彼氏を家に連れてくる第2章の話を書いて、お父さんを中心に書くなら、どんな職業にしようと思って、スーパーを舞台にした。設定は後付けです。小説自体は売れなかったので、映画で拾ってもらえて、日の目を浴びた。文庫本にもなったし、ありがたかった」と感謝する。

 90年代後半、「ボキャブラ天国」でブレークし、テレビに出まくった全盛期はどんな毎日だったのか。「5、6年あれば、まだしゃべることもあるんですけども、1年ぐらいだから、本当に恥ずかしいです。それでも、バッと売れて、いろんな経験させてもらったのはありがたいですし、身にしみてんじゃないですかね。その中で流されていた部分もあったと思うし、結果は伴わなかったから、今はこうなっちゃったけども、一生のうち1回は一生懸命生きていた時期があったのはラッキーだったし、ちょっと誇るべき。ネタで自虐的に言ったりもするけど、悲観的にならなくていいと思ったりしますね」と振り返る。

 当時はかなりの年収を稼いだのではないか。「すごかったんじゃないですか。明細は見てないですよ。後から入ってきたり、『お前の仕事がなくなったら、入れてあげるよ』と当時のマネジャーに言われたりしましたけど、その金入れてくれたのかな、でも、もう遅いですよね(笑)。そのときはお金より、笑いを取らなくちゃと必死でしたね。お金より、いい仕事ができた、ということに喜びを感じますよ」。

 つぶやきシローも、51歳のベテランだ。「ただ、あいつよりも頑張らなきゃ、とか思わない。自分が長になったり、劇団を持ったこともないし、チームで若手を育てることもない。若手のあいつが売れて、『僕はうれしいです』みたいな域にも行っていないですけどね。ほら、結婚すると、『奥さんは体のことを気遣って、料理してくれるけど、たまに、こっそり食べるラーメン二郎はたまらねぇ』みたいなことはないんですよ。いつでも自由だから」。何よりも、驚いたのは、ボソボソと話す芸風とは違って、おしゃべりシローということだった。

□つぶやきシロー(つぶやき・しろー)1971年3月10日、栃木県出身。愛知学院大学心理学科卒業。著書に「3月生まれあるある」(さくら舎)、小説「私はいったい、何と闘っているのか」(小学館)、小説「イカと醤油」(宝島社)、「つぶやき隊」「みんなのつぶやき隊」「新しいつぶやき隊」(いずれもTOブックス)などがある。

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