事故を起こした観光船、操縦資格は「誰でも取れる」 免許教習は平均4~5日
北海道・知床半島沖で乗客乗員26人が乗った観光船が消息を絶った事故は、発生から5日が経過した今も懸命な捜索活動が続いている。報道では船長や甲板士の経験不足も指摘されているが、そもそも今回遭難した観光船の操縦にはどのような資格が必要なのだろうか。

発生から5日が経過した今も懸命な捜索活動が続いている
北海道・知床半島沖で乗客乗員26人が乗った観光船が消息を絶った事故は、発生から5日が経過した今も懸命な捜索活動が続いている。報道では船長や甲板士の経験不足も指摘されているが、そもそも今回遭難した観光船の操縦にはどのような資格が必要なのだろうか。
報道によると、事故を起こした観光船「KAZU Ⅰ(カズワン)」は全長12メートル、重さ19トンの小型船。国土交通省海事局海技課の担当者は「重さ20トン以下の船舶を操縦する場合は一級または二級の小型船舶免許が必要です。一級か二級かの違いは操縦する船舶の大きさではなく、海岸から5海里(約10キロ)以上離れるかどうかによります」と説明する。
資格取得の方法が複数あるため、合格率や難易度は「一概には答えられない」というが、「いわゆる教習所のようなところで取得する場合、学科の最低コマ数は24時間以上、平均4~5日間での取得が一般的です。実技は原則3名実施で12時間、1人あたり4時間ほど。実際にはマンツーマン指導が多く、これより減じることができます。実技試験は実際に水上で行いますが、湖のような淡水で行う場合もあり、必ずしも海上というわけではありません」と話す。この小型船舶免許に加え、6時間程度の安全講習を受ければ旅客を乗せての航行が可能になるという。
「海の司法書士」「海の行政書士」とも言われ、船舶登記や検査申請などを行う海事代理士の一人は「小型船舶免許はレジャー目的の資格で、プロの船乗りではありません。自動車免許と比較しても、少し勉強すれば誰でも取れてしまう資格。現行の法律上では問題ありませんが、実際に小型船舶免許のみで商用航行するのはかなり微妙なところで、議論は非常に難しい」と語る。
安全管理にずさんな点があったとすれば問題外だが、今回の事故はそれ以前の免許資格の在り方をも問い直す契機と言える。今後同じような悲劇を繰り返さないためにも、早急な議論が望まれる。
