プロレスの聖地で無観客試合開催 女子プロレス・スターダムはこの状況下にどう向き合ったか
女子プロレス団体スターダムが3月8日(日)東京・後楽園ホールにて大会を開催した。この日は新型コロナウィルス感染防止対策として“無観客試合”として行い、試合の模様はYouTubeにて無料配信された。
異様な雰囲気に包まれた観客不在の後楽園ホール
女子プロレス団体スターダムが3月8日(日)東京・後楽園ホールにて大会を開催した。この日は新型コロナウィルス感染防止対策として“無観客試合”として行い、試合の模様はYouTubeにて無料配信された。
新型コロナウイルスの影響により、多くのイベントが中止または延期されている昨今、スターダムは親会社の株式会社ブシロードの方針に追随し、プロレス界でいち早く大会、イベントの中止を決定した。2月18日に3月14日までの主催5大会とイベントの中止を発表。また、3月5日に22日新木場までの3大会中止も追加決定された。今後については社会情勢と照らし合わせて検討されることになるが、先行きはまったくわからないというのが正直なところ。それでも、8日後楽園大会に関しては最初の時点で無観客試合としての開催を決めていた。一般ファンは入場できないが、スタッフ、関係者、マスコミは会場入り口にて全員が体温を測定、37度未満の者のみ場内への立ち入りが許可された(入場できなかった者はいなかった模様)。場内ではマスク着用が義務づけられており、感染拡大のリスクを少しでも下げるための厳重体勢がしかれた。
過去を遡れば、感染症によるプロレス興行休止は海外で前例がある。09年の春、メキシコで新型インフルエンザが流行。国内で多くのイベントが取りやめとなり、CMLLの大会場アレナ・メヒコをはじめプロレスイベントもしばらくの間、中止などの影響を受けたのだ。
今回の新型コロナウイルスに関しては、DDT、東京女子プロレスが興行中止の代替えとして無観客試合を開催、道場から動画配信サービスを使って試合の模様をファンに届けている。また、病気・感染とは一切無縁だが、無観客という点においては、かつてアイスリボンが「19時女子プロレス」と題した道場でのノーピープルマッチを定期的に動画配信。双方とも道場を利用したスタジオマッチ的な映像配信イベントとなっていた。が、この日の後楽園ホール大会の場合、観客がいることが前提となっている会場、しかもプロレスの聖地での無観客試合だけに、前代未聞のイベントとなった。報道陣が通常の倍はいたのではないかという皮肉な光景も現出。観客のいない場内は一種異様な雰囲気に包まれた。そもそもプロレスとは観客がいて初めて成立する独特のスポーツだが、これはこれでなにか新しいものが生まれるのではないかという期待もなかったわけではない。
実際、選手からすれば、やはりやりにくさが先立ったのではなかろうか。ファンあってこそのプロレスとあらためて実感した選手も多いだろう。同時にまた、このような状況におかれても戦い抜くのがプロレスラー。そういった意味でも、(今後も無観客試合がおこなわれるかどうかは別として)選手たちには逆転の発想でいい経験になったことだろう。