兒玉遥、アイドル時代に襲われた心の病 “引きこもり”からカムバック「無理せずに休むこと」
「やっぱり私は、芸能の世界で活動することが好きだ」
芸能界引退について考えを巡らせたこともあった。復活につなげたポイントはどんなことだったのか。「休むことに専念したことで、だんだんと考える気力が湧いてきたんです。将来について、無理せずにやれて楽しんでできることをお仕事にしようと思いました。そこで、自分の幼い頃を思い出したり、昔のアルバムの写真を見返したり、自分のルーツをたどる作業に取り組みました。そうしたら、自分はエンタメに関わって、表舞台に立つことが好きだ、と改めて気付くことができたのです。『やっぱり私は、芸能の世界で活動することが好きだし、それが本当に楽しいことなんだ』と。そこからは復帰への道のりが早かったです」。19年6月にHKT48を卒業し、事務所移籍。同年秋から再スタートを切った。
心の病や当時のことについて、21年3月にメディアプラットフォーム「note」で公表。今年3月に開設したYouTubeチャンネルでも病気からの復帰について自らの口で話している。公表について、「まずは自分が完全に元気になったことで、当時について笑い飛ばせるような感覚にもなったので、言っても大丈夫かなと思うようになりました。それに、実際に病気になって、自分が思っていた以上に、心の病を抱えて闘病している方が身近にいるということに気付きました。つらい時に、元気づけてくれる何かがあるだけで全然違います。私がそれを発信することで、お守り的な存在になれればとも考えるようになりました。そういった思いで、勇気を出して公表しました」と明かす。
演技力に磨きをかける中で、5月には舞台「フラガール-dance for smile-」への出演を控えており、今年公開予定の出演映画は4本で、うち2本は主演を務めている。「お芝居を通して作品の魅力や思いを伝えることが大好きなので、その気持ちが伝わるような演技を届けたいですし、作品の中で存在感を出せるような女優を目指したいです。それに、医者やシングルマザーといった、これまでの私のイメージとは全く想像がつかないような役柄にもチャレンジしていきたいです」と言葉に力を込める。
もちろん、無理は禁物だ。病気の再発を起こさないためにも、「自分にいまかかっているストレスの度合い、自分の心がいまなんて思っているのかというところを注意深く把握するようにしています」。健康管理には細心の注意を払っている。
過去の自分と同じように悩み、苦しんでいる人たちに、優しい思いを寄せている。「悩んでいる時、つらい時は、どうしても視野が狭くなって『自分だけ』になりがちです。そうなることはよく分かるのですが、日常の中のちょっとしたことに幸せやありがたみを感じることってありますよね。ちょっと広い話になりますが、いま日本に生まれて自由に職業を選ぶことができて、おいしいものを食べておいしいと感じられて、『生きているだけで幸せ』ということはたくさん転がっている、と思っています。無理せずに休むこと、自分を責めないこと。心が弱っても悪いことではないです。人間、晴れの日も雨の日もあります。休んでゆっくり過ごしていけば、時間が解決してくれることもあるので、焦らないこと。これが一番大事だと思っています」。誰かの心が少しでも楽になるように、自分なりの発信を続けていくつもりだ。
□兒玉遥(こだま・はるか)1996年9月19日、福岡県生まれ。2011年7月10日、HKT48の第1期生オーディションに合格。16年の「第8回AKB48選抜総選挙」で9位に輝く。19年6月にHKT48を卒業し、女優としての活動を本格化。今年5月14日に新国立劇場 中劇場で開幕する舞台「フラガール-dance for smile-」では、舞台版オリジナルキャラクターの和美役として出演予定。2022年は4本の出演映画を控えている。また、今春に公式YouTubeチャンネル「こだまちゃんねる」を開設し、幅広く展開している。