兒玉遥、アイドル時代に襲われた心の病 “引きこもり”からカムバック「無理せずに休むこと」
アイドル時代に頑張り過ぎたことで双極性障害(躁うつ病)になったが約2年の休養を経て復帰し、力強く歩みを進める女優がいる。元「HKT48」メンバーで、現在は映画や舞台で活躍する兒玉遥(25)だ。一時は芸能界引退も考えたところからのカムバック、そして、病気を公表した理由を語ってもらった。
19歳当時、9位獲得「選抜総選挙」の夜に体調異変 芸能界引退も考えた2年間の休養生活
アイドル時代に頑張り過ぎたことで双極性障害(躁うつ病)になったが約2年の休養を経て復帰し、力強く歩みを進める女優がいる。元「HKT48」メンバーで、現在は映画や舞台で活躍する兒玉遥(25)だ。一時は芸能界引退も考えたところからのカムバック、そして、病気を公表した理由を語ってもらった。(取材・文=吉原知也)
「自分がなるはずないと思っていたんです。だから、お医者さんから診断結果を伝えられても、最初は信じられませんでした。家族全員ポジティブな性格で、学校ではバスケ部に入っていて、お仕事もやっていたので、『自分は打たれ強い』とずっと思っていました」
2011年、15歳でHKT48に加入。才能を開花させてセンターを務めるようになり、「AKB48」兼任メンバーとしても活躍。16年6月に「第8回AKB48選抜総選挙」で自己最高の9位を獲得した。順風満帆なアイドル生活をさらに加速させようとしたその矢先、選抜総選挙が行われた当日の夜に、体調の異変に襲われた。「ファンの方が応援してくださって、9位の結果はすごくうれしかったです。総選挙はドキドキで楽しみなのですが、それだけ精神的な負担も大きく、いま思えばかなりのプレッシャーがあったのかな。怖い夢を見ました」。9月に二十歳を迎えたが、次第に体調が悪化し、翌17年2月に活動休止。いったんは復帰したが、同年12月から休養に入ることになった。
真面目で、何事にも100%で取り組む性格。「若かったということもありますが、『なんでも頑張ります、弱音は吐きません!』といった感じでした。でも、実際はキャパオーバーでした。ありがたいことに仕事量がすごく増えて忙しくなったのですが、自分の中で上手に処理できていなかったです」。体調悪化を心配する周囲から病院での受診を勧められていたが、当初は突っぱねていたという。「周りの方々からそう言われるのが、当時はすごく嫌で。『私がなるわけない』『何があっても私は大丈夫』といった思い込みがありました。後から分かったのですが、そういった思い込みには注意が必要だそうです。本当の気持ちを押し殺してしまうのかもしれません。我慢してしまうのでしょうね」。当時を冷静に振り返る。
休養に入ること自体にも葛藤を覚えた。医師からは、焦らずにまずは心身を休ませることを言われたが、中学生の時から夢に向かって一心不乱に走り続けてきただけに、「最初は『休む』ということが理解できなかったんです。『いま頑張らなかったら追い越されちゃう』と。いまだったら、長い人生で見たらたいしたことない、と思えるのですが、当時はどうしても、急に歩みを止めることに不安を感じていました」。
実家での長期の休養生活。一時期は外出すらつらく感じ、引きこもりのような時期もあったという。「本当にぼーっとしていました。ただただ生きているみたいな感じです。それに、日光を浴びることが嫌で疲れを感じてしまい、暗いところにいたいとなってしまうんです。何もやる気が起きず、ただただ自分の部屋にいる。そんな時期もありました」。家族やスタッフの後押しを受け、3食食べて早く寝る規則正しい生活を送り、徐々に回復。「心が元気に」なっていった。