「eスポーツジム」に見出す“教育”の側面 競技経験からの学びに深まる理解

左から鈴木聡氏、真鍋拓也氏、戸叶旬氏【写真:ENCOUNT編集部】
左から鈴木聡氏、真鍋拓也氏、戸叶旬氏【写真:ENCOUNT編集部】

「日本では、『ゲームはみんな仲良く楽しませるもの』という考えが根付いている」

 eスポーツを通じたコミュニケーションや、教育的価値を着実に広めている中、事業拡大も視野に入れている。eスポーツジムは東京メトロのオープンイノベーションプログラム「Tokyo Metro ACCELERATOR 2019」によってスタートした事業だが、引き続き東京メトロと連携し、「東京地区において数年以内に9店舗を目指そうという話をしています」と真鍋氏。9店舗というのは東京メトロの路線数と同じだ。真鍋氏は業界全体も見据え、次のように展望を明かす。

「ここは南北線ですが、各路線で最低1店舗ずつ作っていって、路線対抗戦やリーグをやったりすることで、東京全体のアマチュアシーンを盛り上げたいというのが直近の目標です。社会人の盛り上がりも出てくればいいなと思いますし、オフィス街にも出せれば面白いなと思っています。

 東京地区以外では、いろいろな事業者さんと組んでいければと思いますし、われわれと同じようなことを考えている地元の企業さんがいらっしゃれば、同じようなものを作っていただければいいかなと思っています。こうした事業はどこか1社が独占するよりは、いろいろなところが頑張って、盛り上げていただくほうが、市場全体が活発化する。いろいろご相談はいただいていて、できる範囲でアドバイスはさせていただいています」

 eスポーツジムが東京メトロ沿線のオフィス街に誕生すれば、さらに幅広い層にリーチすることも可能だろう。上達や勝利だけを目的としないコンセプトも、時間のないオフィスワーカーにマッチしそうだ。eスポーツが日本でもより身近な存在となっていく過程で、存在感を発揮することも期待される。

 eスポーツは多額の賞金や華やかさでプロシーンが注目されることが多いが、アマチュアこそが裾野を広げ、文化の醸成につながることもまた事実。プロシーンの盛り上がりとともに、eスポーツジムをはじめとするアマチュアの取り組みも、日本eスポーツ界の未来を左右すると言っていい。

「われわれはアマチュアですが、例えば渋谷や秋葉原のような場所に『行かなければいけないeスポーツ』ではなく、日本全国どこでもeスポーツの練習ができるような場作り、カルチャー作りができるといいのかなと思います。

 eスポーツは、ハンディキャップも世代も関係なく、もしかしたら大人より小学生の方が強いスポーツでもあります。親子で一緒に、あるいはお孫さんと一緒に練習したり、そういう世代を超えた競技の楽しみ方を全国各地どこでも生まれるといいなと思いますし、日本ではそういう盛り上がり方をしてほしいですね。日本では、『ゲームはみんな仲良く楽しませるもの』という考えが根付いていると思います。eスポーツも一緒だということでやっていければ、日本らしいeスポーツになっていくのかなと思います」(真鍋氏)

□eスポーツジム
・料金体系
月額:5500円 都度利用:3時間1430円
・取り扱いタイトル
VALORANT、リーグ・オブ・レジェンド、レインボーシックス シージ、PUBG MOBLILE、アイデンティティV/第五人格、ぷよぷよeスポーツなど
・アクセス
東京メトロ南北線「赤羽岩淵」駅3番出入口地上部すぐ

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