「ビートルズの未発表曲かと思った」 専門家も驚く“謎のバンド”アナログ盤の魅力

ビートルズ研究家の藤本国彦氏「ビートルズを知らない若い世代の人たちに聞いてほしい」

「That Thing You Do!」は、そんなトム・ハンクスのビートルズに対する愛情と思い入れがあふれた映画だ。当然、その主題歌は聴いて思わず指を鳴らしたくなるような、ハイテンポでメロディアスな完全なるマージー・ビートに仕上がっている。これもいわばビートルズの未発表曲のようなナンバーだ。そんな「That Thing You Do!」を思わせる「ソー・リトル・ガール」は、ミドルテンポの「クライング・フォー・ザ・ムーン・インステッド」のカップリング曲に選ばれた。めりはりの効いた選曲であるのと同時に、今回のアナログ盤を両A面と言うべき出来にした。

 藤本さんは、この1960年代初頭をほうふつとされる2曲のアナログ盤を「できるだけ多く、ビートルズを知らない若い世代の人たちに聞いてほしいと思います」と言う。

「なぜなら、僕らが何も知らずにビートルズのオリジナルだと思って『のっぽのサリー』や『ロックン・ロール・ミュージック』、『ツィスト&シャウト』を聴いて、リトル・リチャードやチャック・ベリーを知り、アイズレー・ブラザーズを知って、エルビス・プレスリーやバディー・ホリー、エヴァリー・ブラザーズと出会ったように、この曲を気に入った若い人たちなら、必ずビートルズにたどり着くと思うからです。ケイファーズを入口にしてビートルズを知るというのも非常に面白い。21世紀ならではの裾野の広がりを感じます」

 日本人が作った優れたオマージュを先に知り、ビートルズを知る。それも、1962年に「LOVE ME DO」で英国レコード・デビュー果たしてから今年でちょうど60周年を数えながらも、今でも世界の音楽ファンを魅了し続ける偉大なバンドの永遠性を象徴する現象だろう。

 現代でも色褪せないビートルズの魅力が詰め込まれたアナログ盤が4月23日の「レコード・ストア・デイ」に発売されるというのも御一興。しかも、レーベルによると、アナログ用にミキシングをし直し、シングル仕様のカッティングを施したことで、昔のジュークボックスで聴くような、ダウンロードでは絶対に体験できない迫力あるサウンドに仕上がっているという。

 1年4か月前にネットで曲を耳にして気に入ったという方々ならもちろん、「マージー・ビートって何?」という若い世代にもおすすめ。4月23日にはかつての音楽ファンのように、発売日にケイファーズのアナログ盤を求めて、ぜひとも近所のレコード店に駆けつけてほしい。

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