5年生存率18.8%の「大腸がん」を克服 元リングス山本宜久が明かす“7年間の闘病”
すべてを前向きに考える
――それを5年間続けたそうですけど、どのタイミングで効果を実感したのでしょうか?
「いや、まったくわからなかったですね。多少はけん怠感が治まってきたなっていうのがあったし、便のドス黒い血が出なくなったっていうのはありましたけどね」
――そんな生活を5年続けた後に病院に行ったと話されていましたけど、その理由は?
「5年たった時に、まだ生きていたからそこで初めて検査を受けてみようかなって。そしたらがん細胞が消えていて、転移も見当たらないと聞かされて、ガッツポーズを取った感じですね」
――ちなみに、今の食生活は?
「今は1日3回、普通の食事をしています」
――ご自身ががんになって、誰か周りの方に相談されたことは?
「いや、してないですね。だから孤独との闘いでしたね。誰にも話せないから。親にも話せない。だから自分でなんとかしなきゃいけないってことだけ考えて生活していましたね。長かったですね」
――とにかくもの凄い精神力の持ち主だと思いますよ、山本さんは。
「だから運と奇跡が重なったんでしょうね。まだ死ぬ運命じゃなかったんでしょうね」
――まだまだエンマ様に嫌われてましたね。
「へへへ。まあ、運がよかったのか。それが一番大きいですね」
――冒頭にがんになったことでの反響うんぬんの話がありましたけど、例えばどんな方からあった感じですか?
「前田(日明)さんから電話ありましたね。『お前、がんか……』って。『大丈夫か』って言われて、『大丈夫です』っていう感じです」
――前田さんからすれば、いくつになっても弟子の様子は気になるし、心配されているんですね。
「そうですね。心配されていますね」
――前田さんの弟子の中では、山本さんは一番の聞かん坊でしたもんね。
「ヤンチャでしたね」
――ヤンチャな人がヤンチャでなくなると、余計に心配になりますもんね。
「そうですね(笑)」
――例えば苦しかった5年の間、楽しみはなんだったんでしょうかね?
「いや、楽しみはなかったですよ。必死でしたね。やっぱり『5年生存率18.8%』って言われたから、生きるのか死ぬかを迫られていたし、楽しいことはなかったですね」
――楽しみがない!? それはやっぱり半端じゃない精神力だと思います。
「後ろ向きに考えることもありましけどね。後ろ向きに考えちゃうと、免疫力も落ちてしまうので、前向きに考えないといけないので、全部前向きに考えることにしました」
――もちろん、それは死んでたまるか! っていう気持ちがあったということですか?
「そうですね。やっぱりまだやりたいことがあったので」
――やりたいこととは?
「リングにもう一度戻りたいっていう目標があったから、それがあったからこそ、克服できたっていうのはありますね」
――できるなら、またリングで山本さんの勇姿を観てみたいです。
「上がりたいですね。それが目標ですから。そのためにはまず、体を作ってからじゃないとダメですけどね」