俳優・佐藤浩市が上総広常役で出演するNHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」（日曜午後8時）の第15回が17日に放送され、広常が亡くなる様子が描かれた。同作は小栗旬が主人公・北条義時を演じている。第15回のサブタイトルは「足固めの儀式」。のちの2代目鎌倉殿・源頼家になる“万寿”の足固めの儀式が行われる中、頼朝の政権そのものの「足固め」のための陰謀がうごめき、その結果、第7回で源頼朝（大泉洋）の元に参じた重鎮・広常が命を奪われた。佐藤は番組の公式ツイッターで、放送後に毎回、公開されているインタビュー音声シリーズ「かまコメ」にコメントを寄せた。

　広常についてはこれまで、文章を練習する姿も描かれた。佐藤は「最初に、本筋とは何か全然関係のないところで、広常のキャラクターが見えるようなシーンがあったらいいね、なんてことを演出陣と話していました。それを三谷幸喜さんが聞いて、できたシーンだったんです。どこか粗野な上総介が、まったく童心のように、未来に対する希望として、それを書いている姿、やっている姿、そういう希望を無残に壊されてしまう悲しさがあると思います。実際のところ僕らは武士、もののふの生活というのは伝聞や歴史に残ったものでしか分からないので、正しいか正しくないかは別にして、僕らの世界にも常に通じるものという、そういうふうな思いとして映ればいいかなと。それがとてもうまくできたから、逆に言えば、広常のたどった運命とつながってみると、ものすごく悲しくなっているんじゃないかと思います」と語った。

　また、第15回の広常の最期については「『何か俺が間違ってた部分があるかも知れねぇ』という感じです。広常という人は決してすごく学のある人ではなかったにせよ、頭の悪い人ではないんです。戦のやり方も分かっている、人への食い込み方も分かっている。でも『何か、俺は間違ったのか』っていうことをふと思ったときに、義時を見て『お前は俺になるんじゃねぇ』という思いがわいて、最期のああいう笑顔になったんじゃないかなと思います」とした。

　3月に千葉県内で三浦義村役の山本耕史と行ったトークイベントでも、佐藤と山本が第15回について触れていた。

　山本は「ドラマを第1回から見てきて一番衝撃を受けて『神回だな』と思ったのがまさに広常とのお別れのシーンです。台本で見ているときは何となくシーンのできあがりを想像して、実際に僕らが演じてみて『思ったより面白くなりそうだな』なんて思うこともあります。でもこのシーンは台本の段階から『これ、どうなるんだろう』みたいな。今までの回がプロローグに思えるぐらいの、すごい回」とPRしていた。

　さらに山本は「みんなその台本を読んだときに何か、何とも言えない気持ちになったんです。すごい回だからこそ、痛い気持ちもあれば『その後の展開はもう、うねっていくしかないんだ』っていう回でもあります。浩市さん、ここからすごいですよ。さすがです。持ち上げているつもりもなく、やっぱり三谷さんがこの役を浩市さんに任すっていうところもそうだし、“小栗旬くんにとっての浩市さん”、あるいは“義時にとっての上総介”っていうのをうまく使った回」と絶賛していた。

　一方の佐藤は「僕自身が期待しているということもあるんだけど、去る者が去る、当然それは史実として分かっていることですが、そのあとに残った人間たちがどういう形で物語を構築していくのか。僕自身も楽しみだし、そのときに義時がどういうふうな様変わりをしているのか。そこら辺のところが面白いと思います」と語っていた。