元SECRET GUYZのメンバー諭吉、「LGBTに興味あります?」令和の時代は「十人十色」
日本初FTM(元女性)ユニット「SECRET GUYZ」元メンバーの諭吉(37)は、LGBTの理解をもっと世間に広めるべく活動している。そんな諭吉に、アイドルとしての過去やタレント活動する現在の思いを聞いた。
元SECRET GUYZのメンバー諭吉「めっちゃ幸せ」
日本初FTM(元女性)ユニット「SECRET GUYZ」元メンバーの諭吉(37)は、LGBTの理解をもっと世間に広めるべく活動している。そんな諭吉に、アイドルとしての過去やタレント活動する現在の思いを聞いた。(取材・文=竹之内梨佐)
2018年2月まで新時代アイドル「SECRET GUYZ」として活動してきた諭吉。それから約4年の年月がたち、「芸能界に残った(元メンバーの)吉原シュートと2人で番組に呼んでもらったりはしてますけど、今は『一緒にグループをやりたい』という気持ちはないんですよ。グループ活動をするなら『SECRET GUYZ』は、3人でしかできなかったから」と振り返る。
“オニイ”して活動するまでの原点も明かす。自身に変化を感じたのは保育園の頃だったが、家族にカミングアウトしたのは18歳のときだという。高校を卒業し、専門学校に通いだした頃で「“おなべバー”でアルバイトを始めて、実家に帰らなくなったときがきっかけです」と理由を切り出した。その当時の景色を「おなべの世界は偽らなくてもよくて、きらびやかでした。そっちが楽しくて」と思い返す。
アルバイトに熱中する日々を過ごし、学校を欠席していることを両親が知り、家族会議が開かれた。ここしかないと思い切ってカミングアウトするも、両親は「手をたたいて笑い出しましたね。『もう、その道でいけ!』と。そこからはオープンです」と当時を回想した。諭吉は「家族の縁を切られると思ってカミングアウトしたので、家族として受け入れてくれて、うれしかった」と笑顔を見せる。
しかし、生活をしやすくなったわけではない。「気を使うこともあります。家族の前で“僕”って言うのを恥ずかしかったりしますし、ひげを剃ったあとが青くなったりするのを見ている視線にも気づく。すね毛がボーボーで短パン姿を見せるのが嫌で(足を)出しません」とも後ろめたい気持ちがないと言ったらうそになる。10代からホルモン治療をしていると毛も濃くなり「今なんて脱毛したいと思うくらい。ひげ剃るのめんどくさくて……」と吐露した。さらに、頭部は「薄くなってきて……。ホルモン的に女性はおでこの生え際が丸くて、男性は“M”の生え際な方が多いんですよ。頭部の真ん中は、女性ホルモンなので、男性はバーコードになりやすい関係で、髪の毛も薄くなってきて……」と笑いながら悩みも明かす。
諭吉の生まれた昭和から、学生時代の平成を経て、時代は令和に。「LGBTに興味あります?」と切り出す。時代は「変わってきているんです。制服も(スカートとパンツを)選べるようになってきたし、僕たちが幼い頃の選べなかった時代を乗り越えて、今がある。人の幸せにつながるのって最強ですね。LGBTの話をするとしんどい方に掘り下げられる風潮が気持ち悪いというか。コンプレックスがないと言ったらうそになるけれど、そんなことが吹っ飛ぶぐらい周りに恵まれて今めっちゃ幸せです」ときっぱりだ。
タレントとして、LGBT関連の仕事が多いが「『こういう奴もいるんだよ!』って、笑いと共に話せる、入り口でありたい。今は、LGBTにあふれていて、いっぱいいるし、十人十色」と素直な思いを口にする。
LGBTの理解をもっと世間に広めるための活動がいらなくなるような未来が近いのかもしれない。
□諭吉(ゆきち)1984年08月18日生まれ。身長164センチ。2010年に活動をスタートさせ、フォトエッセー「ぼく、長女です」を2月に発売。舞台「ダブルブッキング」や「インコンプリートボーイズ♯1下手くそすぎる生き方」などに出演。12年にFTM(元女性)ユニット「SECRET GUYZ」を結成。13年7月にCDデビューするも、18年2月に惜しまれつつ解散。アイドルグループ「吉本坂46」のオーデションファイナリストに選ばれた経歴も持つ。18年12月からは新宿に「諭吉BAR」オープンさせ、経営者としても活躍している。