川上麻衣子、マイカー生活“引退”もレンタカー満喫 猫との共生社会実現に尽力の日々
インターネット上の“猫好きのための”街づくり「にゃなか」に注力
ペットブームが起きていますが、飼い主としてどうやったら猫とうまく暮らしていけるのかを知ることが重要です。そこで、猫の習性や生態、最低限のバイタルサイン(生命兆候)、何かあった場合の対処法などを知ってもらうアカデミーの場を作りました。こうした活動を進める中で、獣医師の先生方やボランティアの方々と知り合うようになりました。東京・谷中に開設しているサロンでは、猫の譲渡会を月2回のペースでやっていて、これまで700匹以上の猫の里親さんが見つかっています。
いま最も力を入れているのが、「にゃなか」というインターネット上の街づくりです。猫好きの皆さんがさまざまな情報交換ができるようなネット上の空間を整備したいと考えています。全国・全世界の猫好きがつながることのできる街です。例えば愛猫が病気になってしまい不安になっても、そのコミュニティー内で解決のための情報交換ができるようになれば。病院や学校があって、リアルの街に近い交流スペースを想定しています。
リアルの活動拠点としては、もともと開いているサロンに加えて、スウェーデンの雑貨店も経営しているので、谷中については、保護猫や地域猫のことを調べて情報発信できる場所にしていきたいです。
長年、猫と一緒に暮らすことによって、自分の死生観が変わりました。ペットの命を扱いながら暮らすこと、それは最終的に人間に戻ってくるものだと考えています。ペットブームは盛り上がりを見せていますが、これから老猫の介護や世話、看取りの問題が必ず出てきます。それは、老いていく人間にとっても全く同じことです。自分の親のことだけでなく、自分自身の将来のことでもあります。こういう時代だからこそ、命について見つめ直していくことが大事なのではないでしょうか。獣医師さんの説明を聞くことも大事ですし、飼い主同士の経験を共有し合うことも大切です。猫にも人にも優しくなれるように。そんな社会になるよう、いろいろな活動を展開していければ。
14歳で女優デビューし、歩んできました。これからもその時代時代で自分が思ったことを表現していければいいなと思います。それに、女優業は台本があって作品があってのことなので、その中で求められるポジションがあれば、ずっと続けていければとも思っています。
こうして女優の仕事があるおかげで、私が何かを発信した時に、皆さんに耳を傾けていただける。これは本当にありがたいことだと実感しています。いろいろな方々との出会いにも感謝です。それに、今の時代はSNSを通して活動を伝えることもできます。発信の場があるのはありがたいことです。いま取り組んでいるすべての活動において、自分の存在価値を見いだせることにやりがいを感じているので、私なりに伝えていきたいと思っています。
□川上麻衣子(かわかみ・まいこ)1966年2月5日、スウェーデン・ストックホルム生まれ。1980年に女優デビューし、ドラマや映画などで活躍。現在は猫との共生社会実現の取り組みにも尽力しており、2018年に一般社団法人「ねこと今日(neko-to-kyo)」を設立。デザインガラス作品の制作もライフワークにしている。