【ズバリ!近況】「男はつらいよ」「俺たちの旅」で活躍の秋野太作さん 喜寿にして舞台復帰できる秘密
酒や女遊びは“芸の肥やし”じゃなくて病気のもと
身体は元気だから、じゅうぶん舞台がつとまるんだよ。年1回、健康診断を受けているけど、すべて理想的な数値。30代半ばから酒もタバコもやめて、健康に気を付けてきたから。若いときのような激しい運動はしないけど、スポーツジムに行って筋トレしたり、近くを2~5キロゆっくり走ったり、ヨガをやったり。舞台俳優はスポーツ選手のようなところがあるから、精神と身体のバランスを整えて動けるようにしているよ。
身体を奥で支えているのは精神だから、脳みそのコンディションも整えている。読書とか瞑想を続けてきたことが、今の僕を支えている。瞑想は最愛のオヤジの介護をしていた30代でめぐりあって、最初は朝20分、夕方20分から始めて、今は朝1時間、夕方1時間。40年以上毎日欠かさず。「いつそんな時間をとればいいんだ」と最初は思ったけど、時間をとって瞑想して脳みその掃除をすると、自分の生活が整理されてかえって時間ができるんだ。
頭を整理すると、身体も整う。恋愛を繰り返したり、酒を浴びるように飲んだりして「芸の肥やしだ」なんて言っている人がいるけど、そんなことをしているから病気になって芝居ができなくなるんだ。酒は一時的にボーッとしていい気持ちになるけど、ストレス発散にはならない。女遊びなんて、わざわざ自分からもめごとの中に身を置いて、ストレスを抱えるようなもの。ストレスで怒ったり悲しんだりすることが、どれだけ身体に悪いか。僕は問題のない人生を送ろうと努めてきた。だから、長く俳優をやれるんだと思うね。
東京大学出の長男は海外で活躍中
今はカミさんと末娘と3人暮らし。演じる以外の時間は映画を観たり、「私が愛した渥美清」のようなエッセイの原稿を書いたりしている。カミさんは難病を2つ抱えてフーフーいってほとんど介護状態だから、末娘が心配して僕の面倒をみてくれている。僕はオヤジを5年間面倒みたから、子供たちにはなるべく迷惑をかけないよう健康にはずいぶん気をつけているけどね。
子供は3人育てたけど、子育ては楽しかったねぇ。自分ができなかったことを与えたくて、ハイソな学校へ通わせたりしたよ。末娘は音楽学校を出て昔はちょこっとモデルをやったんだけど、今は勤め人。長女は結婚していて、子供が2人。孫は大学生と中学3年生でもう大きいんだ。長男は東京大学を出て経済学者兼ダンサーになったんだけど、今、海外をあちこち行って帰ってこない(笑)。長男は独身で結婚しそうにないから、津坂家は途絶えそうだね。
□秋野太作(あきの・たいさく)1943年2月14日、東京都台東区上野生まれ。本名:津坂匡章。日大法学部在学中の1963年、俳優座養成所に第15期生として入所。1967年、木下恵介劇場「記念樹」(TBS)でデビュー。ドラマ、映画の「男はつらいよ」シリーズやドラマ「必殺仕掛人」(TBS)などの“必殺シリーズ”、「俺たちの旅」「俺たちの朝」(日本テレビ)、舞台は「リア王」(日生劇場)、「屋根の上のバイオリン弾き」(帝国劇場)などで活躍。2003年頃から「踊る!さんま御殿‼」(日本テレビ)や「怪傑えみちゃんねる」(関西テレビ)などのバラエティでも活躍。2020年秋、映画「戦国ガールと剣道ボーイ~正々堂々~」公開予定。