RIZINデビュー目前の貴賢神、力士時代のツラすぎる日々を激白「あれで強くなれた」
ツラかった「五番抜き」
――では、稽古でツラかったことは?
「ぶつかり稽古ですね。それはホントにシンドくて、番付が上の人たちもいるのに、自分たちが中心の稽古なんですよ。それは弟子を厳しくして強くするっていう期待の表れなんですけど、まず新弟子は『四股(しこ)』をずっと1時間踏み続けるじゃないですか。その後、『鉄砲』ってあるんですけど、ボクシングで言うサンドバッグを相手に練習するみたいな感じなんで、それを1時間やって、クタクタになってから、『申し合い』っていう相撲を取るんです」
――ようやく実戦に入ると。
「そうですね。そこから申し合い、格闘技でいうところのスパーリングを1時間半くらいやって、自分はその後あたりから入っていました。そこからさらに3時間稽古をやって、力が出なくなっても、まだやり続けるんですね。しかも当時は貴乃花部屋は水分補給禁止なんです」
――21世紀なのに。
「もちろん私語も禁止。痛いだのかゆいだのを言ったらすぐに怒られます。そんな状況でやっていたから、精神的にも肉体的にもグワーッと追い込まれて、最後に『五番抜き』っていう、5回連続勝った者から上がっていく稽古があったんです」
――「五番抜き」ですか。
「ええ。そのときは幕下の力士が5人いたんですけど、最初の2人は『五番抜き』、残りの3人は『かわいがり』と言われたんですね。そのときは今の大関の貴景勝がまず抜けたんです。その後、2番目に自分が抜けたはずなんですけど、ルール上なら自分が勝っていたのに、親方に負けにされたんです」
――それはなぜですか?
「そのときは土俵際での攻防だったんですけど、稽古場は攻めたほうが勝ちだっていわれて、土俵内に残った自分が負けにされたんですよ。だから結局、その2人に残れなくて。せっかくだから何時間でもやってやろうと思って、逆に最後でいいやって、ちょっとふてくされながらやったら、貴乃花親方に『年齢の若い順』って言われて、そこから1時間、引きずり回されて」
――参考までにそれは1年に何回あるんですか?
「いや、そんなのは決まってないし、関係ないんですよ。休みも基本ないです。他の部屋は週イチはあるんですけど、貴乃花部屋はなかったですね。ひと月、ふた月、休みがないこともあれば、急に休みが連続することがあったり」