祖父の死で見つめ直した家族の絆 28歳・瀬戸かほの迷いを消した映画監督からの言葉

28歳の女優・瀬戸かほが、8日に公開される映画「クレマチスの窓辺」(永岡俊幸監督)で、主演を務めている。同作は、祖母の死をきっかけに東京から島根・松江市を訪れた女性が、生き方を見つめ直していく物語で、瀬戸自身も女優を辞めようかと悩んだ時期があったことを明かした。言葉を探しながら話す姿は、女優を続けると決めたときの覚悟を感じさせた。

目立つのは苦手だった、瀬戸かほ【写真:舛元清香】
目立つのは苦手だった、瀬戸かほ【写真:舛元清香】

「クレマチスの窓辺」で主演、永岡監督とは3度目のタッグ

 28歳の女優・瀬戸かほが、8日に公開される映画「クレマチスの窓辺」(永岡俊幸監督)で、主演を務めている。同作は、祖母の死をきっかけに東京から島根・松江市を訪れた女性が、生き方を見つめ直していく物語で、瀬戸自身も女優を辞めようかと悩んだ時期があったことを明かした。言葉を探しながら話す姿は、女優を続けると決めたときの覚悟を感じさせた。(取材・文=西村綾乃)

 同作は、東京で生まれ育った主人公・西野絵里が、亡くなった祖母が暮らした古民家で過ごす1週間を描いている。家主を失った家にやって来た絵里が、閉め切った窓を開けるところから物語は始まる。瀬戸は永岡監督の希望で主演した。

「永岡監督とご一緒するのは3作目です。今回もありがたいことに声を掛けていただき、2019年の秋に撮影に臨みました」

 島根県出身の永岡監督が、島根でのオールロケを決めたのは、「帰るたびにひとつふたつとなくなっていく街の風景を今のうちに映画の中に遺したい」という思いがあったからだ。瀬戸も監督の思いに共感している。

「大橋川など美しい場所で撮影を行いました。私が育った横浜市も、みなとみらい21地区にロープウェーができるなど、どんどん姿を変えています。変わることを寂しいと切なく感じることもありますが、なくなってしまったものを振り返って思う時間も同じように大切だと感じています」

 風景も人も変化していく。瀬戸自身にもたくさんの変化があった。目立つのは苦手だったが、大学時代に友人がSNSに投稿した写真がきっかけで、在学中にモデル活動を始めた。15年には映画「orange -オレンジ-」で女優デビュー。その後、舞台にも挑戦したが、常に不安や迷いがあったという。

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