コロナ禍の育児、30代女性が語る“誤算”だらけの現実 復職遅れキャリアに影響も
2020年に新型コロナウイルスが日本で確認され、2年が過ぎた。社会にさまざまな制約が生まれる中、子育ての現場も大きく様変わりした。SNS上では「#コロナベビー」とも言われるコロナ禍による育児のメリット、デメリットとは? 20年1月に第一子を出産した東京都の30代女性に2年間の育児を振り返ってもらった。
保育園では運動会や保護者会が中止に
2020年に新型コロナウイルスが日本で確認され、2年が過ぎた。社会にさまざまな制約が生まれる中、子育ての現場も大きく様変わりした。SNS上では「#コロナベビー」とも言われるコロナ禍による育児のメリット、デメリットとは? 20年1月に第一子を出産した東京都の30代女性に2年間の育児を振り返ってもらった。
育児は19年と20年を境目に、大きく環境が変わったと言っていい。実際にどのような影響があったのだろうか。
「育児は親に頼れって言われるけど、頼れなかった。近くに親が住んでいるのに、親の助けを借りるのにためらいがありました。小さいうちに会わせられず、お宮参りもキャンセルになり、行事などにも呼べなかった」
まず女性が挙げた“誤算”は、祖父母との接触機会が減ったことだ。出産当時はコロナがどんなウイルスかも分からず、可能な限り、自宅で過ごした。まだワクチンも開発されていない時期。別居家族と会うことによる感染を恐れて、お宮参りやお食い初めなどをみんなで祝うことはできず、かわいい盛りの時期に、辛抱のときが続いた。
育児を支援する公共施設もほとんど利用できなかった。「子ども用の施設はどこも予約制になってしまって、子どもの機嫌や体調に合わせてフラッと行きたいところだったけど、できませんでした」。保育士が常駐して一緒に遊んだり、悩み相談にも乗ってくれる自治体のサポートは貴重だったが、予約は争奪戦だったという。
そして「保育園が登園自粛になったのも予想外でした」。女性は大手金融機関に勤める。キャリアへの影響を最小限に抑えようと、0歳から登園させて仕事復帰する計画を立てていたものの、自治体からの要請で登園が1年延期となった。また、保育園では運動会や保護者会など、あらゆる行事が中止となり、思い出を残すことができなかった。失った時間は戻らない。
子どもの熱や風邪には常に不安がつきまとった。「子どもの体調不良がただの風邪なのか、コロナにかかっているのか、精神的に常に張り詰めたものがある2年間でした」。保育園に通い出してからは、突然体調を崩す機会も増えた。近所の小児科ではPCR検査を行っておらず、子どもの看病をしながら、自身の体調変化にも気を配った。
本来、関係のないことでもコロナの影響が頭をよぎったといい、「言葉が出るのが遅いのは大人がマスクをしていて、口元が見えないから発語が遅れているのかなと気になったりしました」と語った。