横浜F・マリノスeスポーツのあぐのむは、デジタルカードゲーム「Shadowverse」（以下、シャドウバース）プロ選手として活躍する傍ら、YouTuberとしても精力的に活躍している。多くの視聴者の目に触れるYouTubeという媒体で、プロゲーマーとして数字を伸ばしてきた経緯やスタンスなどについて聞いた。（取材・文＝片村光博）

　プロ選手としてのファン獲得や、プロリーグ全体の人気向上を見据えてYouTube活動をスタートしたあぐのむ。ライト層へのアプローチを強く意識する中で、チャンネルが伸びたきっかけは、“素”を出す体験にあったと感じているという。

「意図したことではなかったんですが……。（同じくシャドウバースチームを持つ）レバンガ札幌さんの、お酒を飲んで話す配信企画に呼んでいただいたんです。自由にいろいろ話すことができて楽しかったんですが、話し足りなくて自分のチャンネルでもお酒を飲みながら配信をしてみたところ、視聴者の方に喜んでもらえました。その前から“ガチ向け”の動画はそれなりに伸びていたんですが、ここから“キャラ”が一つ追加されたかなと。ライブ配信に関しては『もうちょっとさらけ出したほうが面白いのかな』と実感する体験になりました」

　そこから今に至るまで、YouTubeでは動画投稿で視聴者を獲得し、ライブ配信は一種のファンサービスのようなスタンスだ。「動画は真面目寄り、情報メインですが、配信では素をさらけ出すという2つの軸でやっています」。

“プロ”の肩書きとプライドに縛られるのではなく、良い意味で視聴者に近い目線に立てる思い切りの良さが、あぐのむの魅力でもある。とある日の配信では、本名が明らかになってしまうというアクシデントもあったが、ネガティブに捉えず、むしろ視聴者を楽しませる話題の一つにしている。

「それも“キャラ付け”かなと思っているんです。一言にプロゲーマーでYouTuberと言っても、いろいろなキャラの方がいます。だからこそ、一貫性が大事。1年目は“カッコいいプロ”像を決めて目指していましたが、あまりうまくいかなかった。もうちょっと親近感を持ってもらえる、楽しんでもらえるキャラもいいかなと思ったんですよね。もともと友達の間では“イジられキャラ”でもあって、全然嫌ではない。その方が面白いですし、プロとしての立場もそちら寄りでいいと思いました。みんなに喜んでもらえるような活動をできれば、僕は一番うれしいです」