アパートの部屋にいきなり兵士が… 日本人ボランティアが体験したウクライナの今

ロシアによるウクライナ侵攻が始まって1か月あまり、連日のように民間人が戦闘に巻き込まれるいたましい報道が聞こえてくる。戦地は今、どのような状況なのか。ウクライナ西部の都市リビウで避難民の支援活動を行う日本人ボランティアの伊藤翔さんに聞いた。

車での支援物資の輸送や避難民のサポートを行う日本人ボランティアの伊藤翔さん(左)
車での支援物資の輸送や避難民のサポートを行う日本人ボランティアの伊藤翔さん(左)

車での支援物資の輸送や避難民のサポートなどの活動を自己資金で行っている

 ロシアによるウクライナ侵攻が始まって1か月あまり、連日のように民間人が戦闘に巻き込まれるいたましい報道が聞こえてくる。戦地は今、どのような状況なのか。ウクライナ西部の都市リビウで避難民の支援活動を行う日本人ボランティアの伊藤翔さんに聞いた。

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 昨年10月、黒海を挟んだウクライナの隣国ジョージアに移住した伊藤さん。ロシアのウクライナ侵攻が始まると、居ても立っても居られず、ロシア軍が迫る中、ウクライナに入り、車での支援物資の輸送や避難民のサポートなどの活動を自己資金で行ってきた。

 30日までは物資調達のため、ポーランドのワルシャワにいたといい、「名義変更をして、使える車が2台から3台に増えました。幸い、ロシア軍に包囲されている一部の地域を除けば、住民の避難はだいたい完了してきています」と現地の状況を語る。

 今は安全なところにいるという伊藤さんだが、爆音の鳴りやまない戦闘地域で朝を迎えたこともあった。戦時の日常とはどのようなものなのか。

「感覚がまひしてきているというか、この状況に慣れてしまっている自分がいる。ミサイルはどこに落ちてくるかは分からないし、気を張っていたからといって逃げられるわけでもない。夜寝るときは、毎晩ギャンブルしているような感覚ですね。車が段差に乗り上げたときの揺れにおびえたり、大きな音がトラウマになってしまっている子もいる。これからは物資だけじゃなく、そういった心のケアも必要になってくると思います」

 幸い身近で亡くなった人や、遺体を目にした機会は今のところないものの、キエフ滞在中には、いきなりアパートの部屋に兵士が突入してきたこともあったという。

「テレビ電話をしていて、ロシア側に情報提供をしているんじゃないかと通報があったみたいです。ウクライナ兵からすると、外国人がアパートにこもって何かしていたら怪しまれるのも無理はない。幸いテレビ取材を受けたときの映像があって、それを見せたことで信用してもらえました」

 入国当初5000万円用意していた支援のための自己資金は、すでに3分の1ほどになっているという。なぜ我が身を危険にさらしたり、私財を投げうってまでウクライナの人々に尽くせるのか。

「よく聞かれるんですが、答えるのが難しいというか、特別なことをしているつもりはない。例えば、外国人の人が道に迷っていて、言葉が分からなくてお金もなくて困っていたら、タクシーをつかまえて目的地までの代金くらい払ってあげようかなという、ほんのそれくらいの気持ちなんです」

 今後はリビウに難民のための宿泊施設を設立、本格的にウクライナに移住し、持続的な支援を続けていくつもりだ。

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