プロゲーマー兼YouTuber・あぐのむが語るファン獲得 ライト層に「親近感を持ってほしい」

いずれの活動においても継続することの重要性を力説した【写真:ENCOUNT編集部】
いずれの活動においても継続することの重要性を力説した【写真:ENCOUNT編集部】

強いだけではないプロの姿「特別な価値を付けたい」

 さまざまな工夫と思慮もあり、あぐのむはYouTuberとして動画投稿では2万回前後の再生数をコンスタントに出し、ライブ配信でも500~1000人の同時接続を安定して獲得する。プロゲーマーとの兼業で数字を残し続けているが、それが“プロ”のあるべき姿だという考えも持っている。

「今はプロ野球などで“プロ”という言葉を目にするので比較されがちですが、eスポーツではストリーマーやゲーム実況者の色があるプロの方がいいのかなと思うこともあります。ただただ強いだけだと、今の時代はゲーム内の対戦でいくらでも見ることができたりしますから。プロというからには、特別な価値を付けたいですよね」

 多くのeスポーツタイトルでは、無数の強豪アマチュアプレイヤーが競技シーンにひしめいており、あぐのむの言うように“強さ”だけであればゲーム内で目撃、体験する機会が意外とある。「もちろん、プロとして日々研究していますし、ストリーマーや実況者とは違うプレイなどで“魅せる”こともできると思っています」という自負も持ちつつ、プロとしてゲームタイトルの“顔”にもなるという思いが、YouTuber活動のモチベーションにもつながっている。

「業界全体を見ておくことは重要です。今の時代はそんな人も少ないとは思いますが、『プロゲーマーはゲームが上手い人で、仕事はゲームをずっとやること』という考えでは、やっていけない。業界全体を見て、どこに需要があるのかを理解する。今、自分たちはプロゲーマーとして生活できているけど、なぜ生活できているのかを意識し続けることが大事です」

 信念を持って“二足のわらじ”に取り組むあぐのむ。当面の目標を尋ねると、実に地に足のついた答えが返ってきた。

「どちらでも大事なこととして“継続”があると思うんです。チャンネルにしても、プロゲーマーとしての実力にしても、伸び悩んだときは何かアクションを起こさないといけないと思ってしまうんですが、その段階で活動をやめてしまわないことが一番大切。YouTubeの企画で一つ、ものすごく伸びたものがあったんですが、継続性はなかった。長く続けていくためには、自分の体調とメンタルも管理していかなくてはいけませんからね。面白い企画でも、継続できないと意味がないというのは痛感しています。だから、『できるだけ継続して活動する』というのが最近の目標です」

 プロゲーマーとYouTuber。どちらの活動にも真摯に向き合い、堅実に継続する。自身が生きる世界をしっかりと理解し、すべきことを冷静に見つめるあぐのむの“答え”は、まだ成熟し切っていない日本eスポーツ界で一つの指針となるはずだ。

□あぐのむ/1994年11月25日生まれ、新潟県出身。キャプテンとしてF・マリノスを引っ張る“トリコロールの貴公子”。「RAGE Shadowverse Wonderland Dreams」ファイナリスト、「JCG Shadowverse Open」優勝1回。

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