池上彰さん 認知症の母親に肉薄する娘・信友監督のカメラワーク絶賛「さすがプロ」

ジャーナリストの池上彰さんが26日、東京・シネスイッチ銀座で行われた映画「ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~」(信友直子監督)の公開記念トークショーにゲスト出演した。

ジャーナリストの池上彰さんと信友直子監督(左から)【写真:ENCOUNT編集部】
ジャーナリストの池上彰さんと信友直子監督(左から)【写真:ENCOUNT編集部】

映画「ぼけますから~」に感謝「これからどう生きるか考える」

 ジャーナリストの池上彰さんが26日、東京・シネスイッチ銀座で行われた映画「ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~」(信友直子監督)の公開記念トークショーにゲスト出演した。

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 映画の舞台になっている広島県呉市は、池上さんにとっても懐かしい場所で、「広島カープが初優勝した翌年、1976年から3年間住んでいました。NHK呉通信部にいました」としみじみ。「呉は坂が多い。高齢者にとっては、住みやすい町じゃない。でも人が優しい。言葉は乱暴かもしれないけど。だから(映画の主人公で90代の)ご両親が過ごすことができたんだと思いましたね」と指摘した。

 映画は、信友監督の母が認知症になり、人生を閉じるまでを描いているが、101歳になる父は今も呉市でひとり暮らしを続けているという。

 池上さんは、2018年公開の前作「ぼけますから、よろしくお願いします。」についても言及した。

「本当に高齢社会の問題が詰まっている。老々介護はどうなのか。今の日本社会の問題を提起すると同時に、温かくユーモアがあって、見た後の感じがよかった」と、作品が伝えた深刻すぎない描き方をあらためて振り返り、続編に対し「(娘としてではなく)カメラマンとして撮っている。親子の会話になっていた(と思った)ら、突然ディレクターとしてすーっと引いてロング(カメラ)で冷静に撮っている。あああ、プロなんだな。認知症のリアルな現実を突きつけられた。きれいごとじゃない貴重なシーン(が多い)。カメラを回し続けたのはすごいプロ根性だと思った」と、信友監督のジャーナリスティックな撮影手法を称えた。

 その上で、「よく死ぬことはよく生きることだし、よく生きることでよく死ぬことができる。これからどう生きるか考える、大変大きなヒントをいただいたような気がします」と、作品に感謝を伝えた。

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