信友直子監督「死ぬのが怖くなくなった」 カメラ回して母の死看取り感じたワケ

映画「ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~」の公開記念トークショーが26日、東京・新宿武蔵野館で行われ、信友直子監督とアニメーション映画「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」を手掛けた片渕須直監督が作品の魅力などを語り合った。

片渕須直監督(左)と信友直子監督【写真:ENCOUNT編集部】
片渕須直監督(左)と信友直子監督【写真:ENCOUNT編集部】

映画「ぼけますから~」公開記念トークショー、信友直子監督と片渕須直監督がトークショー

 映画「ぼけますから、よろしくお願いします。~おかえり お母さん~」の公開記念トークショーが26日、東京・新宿武蔵野館で行われ、信友直子監督とアニメーション映画「この世界の(さらにいくつもの)片隅に」を手掛けた片渕須直監督が作品の魅力などを語り合った。

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 映画「ぼけますから~」は、広島県呉市で暮らす認知症の母親と耳の遠い父親の、互いに寄り添う高齢夫婦の生活を記録した「ぼけますから、よろしくお願いいたします。」(2018年公開)の続編。アニメ「この世界の~」も呉を舞台にした作品で、同じ土地を舞台にした縁が両監督を結び付け、この日のトークショーにつながった。

「片渕監督に来ていただいて興奮しています」という信友監督は「私が『この世界』の大ファンなんです。今回の作品を作るにあたって『この世界』で描かれていた日常で、ささやかなんだけどほっこりとする暮らしを意識して描きました」と、影響を受けたことを打ち明けた。認知症の母の入院、毎日1時間をかけて母を見舞う父の献身、看取りなどを描いている。

 コロナ禍で仕事が中断し、そのために3か月間実家に戻ってカメラを回していたという信友監督は「母の病状が進んで来たので、終活とか延命治療とかになってしまうんですけど、夫婦の愛、夫婦の絆を描きたかった。父と母のお別れって、カメラを持っていなかったら娘として『お母さん、逝かないで』ってなりそうでしたが、カメラを持って観察者になっていたので荘厳なものを見せてもらったような気がする」と、撮影者としての意識をあらためて実感。

「臨終に立ち会うのは初めてだったんですよ。襟を正されるような思いでした。父が声をかけ『おっかあ、会えてよかった、あんたが女房でよかった』と言ったら母が涙を流した。すてきなものを見せてもらえたような気がして、死ぬのが怖くなくなった。美しいものが見られたなと思う」と振り返った。

「平安時代を舞台にした映画を作ろうとしている」という片渕監督は、「(平安時代は)けがれが移るので(亡くなった)人から離れないといけないという考え方がある。人が亡くなる瞬間の荘厳さというか、聖なる瞬間みたいなこと(を描くために)、けがれの発想を僕の映画の中でも否定しなければいけないと、影響を受けてしまいました」と、信友作品を称賛した。

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