東大が2部制の卒業式を開催 抽選で当選の生徒が参加、式典後には講堂を開放も

東京大学(東京・文京区)の卒業式が25日、本郷キャンパスの安田講堂で行われた。新型コロナウイルス感染拡大防止のため式は第1部と第2部の2部制となり抽選で選ばれた卒業生が出席。抽選に外れた卒業生のため式典の模様はオンラインで中継された。

東京大学で卒業式が行われた【写真:ENCOUNT編集部】
東京大学で卒業式が行われた【写真:ENCOUNT編集部】

抽選で出席できなかった卒業生も、式後に講堂を開放

 東京大学(東京・文京区)の卒業式が25日、本郷キャンパスの安田講堂で行われた。新型コロナウイルス感染拡大防止のため式は第1部と第2部の2部制となり抽選で選ばれた卒業生が出席。抽選に外れた卒業生のため式典の模様はオンラインで中継された。

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 音楽部管弦楽団によるモーツァルト作曲「ディベルティメント ニ長調 K.136」の演奏後、藤井輝夫学長は「総長告辞」として卒業生に祝福の言葉を送った。コロナ、歩きスマホ、ネット依存、ロシアによるウクライナ侵攻、ロボット、リモート会議システム、ギリシア神話、遺伝子組み換え、体外受精、人権思想、気候変動など広い範囲にわたって言及し「産み出された科学技術はわれわれ自身の生き方にさまざまな影響をもたらします。だからこそアカデミア、行政、市民といった立場の垣根を超え、さまざまな知を結集しさまざまな声に謙虚に耳を傾け対話を継続していくことがより一層求められていくでしょう」と語りかけた。

 卒業生総代として答辞を読んだ教養学部学際科学科の佐藤たまおさんは「私は前期課程で長崎県へフィールドワークに行き、農家の方々へヒアリングを行ったことがきっかけで理科2類から人文地理学の道を志しました。文献や統計分析により地域への理解を深めた後に現地に赴き、そこに息づく人々の暮らしに触れたことで地域をより立体的に感じることができました。また基盤整備事業を実施するために地域の農家をまとめる旗振り役として尽力された農家の方や実家の農業の経営判断をすでに任され始めている、自分とあまり年齢が変わらない農家の方のお話を聞いて農村の活力を感じました。そこから農産物の価格変動や農政、他の産地との関係など農家の方々を取り巻く環境に強く関心を抱くようになりました。

 来年度から私は社会人として農業の支援に携わります。学生として経験した新型コロナウイルス禍は窓の外で世界が大きく変わっていくのを部屋の中から眺めているようでした。これから社会に出ていく私たちはこれまで享受してきた枠組の作り手に回ります。この非常事態に伴って変化を余儀なくされている社会で新たな常識の作り手となる責任を自覚し本学での学びを存分に活かして邁進していく所存です」(抜粋)と力強く誓った。佐藤さんの卒業論文題目は「都市近郊農業への新規参入者の就農プロセスにおける支援制度の役割と課題―埼玉県所沢市を事例に」。

 第2部では農学部国際開発農学専修の谷口裕香(ひろか)さんが卒業生総代として答辞を読み上げた。「幼いころから環境問題と経済に関心がありました。私にとって国際的な視点から農学や開発経済が直面する課題についての学びを得たことは大変興味深く貴重な経験でした。偶然にも恵まれた学びという平和の時間を今度はそれを求めている人々のために捧げる努力をする必要が、私たちにはあります。自己の利益だけを考えるのではなく多様な価値観を受け入れ、隣にいる人、コミュニティーに関わる人々、ひいては文化も考え方も異なる地球に住むすべての人々のために私たちは行動を起こさなければなりません。東京大学での学びを活かし、自分ができることに主体的に取り組み、難題に挑み続け、他者と協働し課題解決の一端を担える存在になれるよう励みます」(同)と決意した。

 第1部は午前9時から始まり法学部、文学部、経済学部、教養学部、教育学部の卒業生が、第2部は午前11時15分から始まり医学部、工学部、理学部、農学部、薬学部の卒業生がそれぞれ出席した。式典の抽選に外れた卒業生のために同1時半から4時までの間、講堂内に出入りできる開放時間がもうけられた。

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