日給は24時間勤務で2万円、陽性者の脱走も…コロナ療養ホテルの警備員が明かす実態
東京の新型コロナウイルスの新規感染者は24日、8875人となり、3週間ぶりに前週の同じ曜日の人数を上回った。流行のピークは越えたものの、なかなか収束が見えない中、コロナ感染者療養ホテルでは警備員たちも24時間体制で奮闘している。現場ではどのような仕事をしているのか、実態を取材した。
非常階段まで警備 抜け穴はないよう思えるが…
東京の新型コロナウイルスの新規感染者は24日、8875人となり、3週間ぶりに前週の同じ曜日の人数を上回った。流行のピークは越えたものの、なかなか収束が見えない中、コロナ感染者療養ホテルでは警備員たちも24時間体制で奮闘している。現場ではどのような仕事をしているのか、実態を取材した。
宿泊療養施設を利用できるのは、陽性でも入院治療の必要のない軽症や無症状の人で、都内では33施設(2月22日現在)が受け皿となっている。また、成田など各国際空港の周辺のホテルでは入国時の検査で陽性になった人や、海外から来日した外国人陽性者の受け入れにも対応している。
感染拡大を防ぐために欠かせない施設で、セキュリティーを担当するのが警備員だ。陽性者が隔離期間を満了するまで、外に出ていかないよう24時間体制で監視している。
先週まで警備員として関東近郊の陽性者専用ホテルで働いていたという男性は、その仕事内容についてこう明かす。
「警備員は数人のグループずつ、2班に分かれてホテルの表と裏を担当する。俺の班はポジションが4つあって、外で立つのが1人、ホテルの中の入り口に立つのが1人、非常階段に1人、フロントに1人。もう1個の班は裏側だね。だから全部の非常口を固めている。結局、隔離されてる人たちが『出たい』と言って、出ていっちゃう。それを止めるのが俺たちの役割」
仕事自体は監視が主で、肉体的負担はそれほどない。「入口で立って見張っているところもあれば、いすに座ったままいるだけでいいところもある」と、ポジションによって若干異なるくらいだという。
これだけ人数がいれば、セキュリティーは万全のように思えるが、意外な落とし穴もある。
「『帰りたいよ』と言って、入り口まで出てきて暴れちゃった人がいる。だからといって、その人に俺たちは触れることはない」
警備を担当するとはいえ、警察官のような拘束力はない。しかも、相手は陽性者だ。警備員は防護服姿ではない。「追いかけるけど、『戻ってください』『戻ってください』って言うだけ。俺たちはただもう、囲って囲ってみたいな。近づいちゃいけない」。陽性者とのソーシャルディスタンスは「3、4メーター以上、離れる」と指導された。実際に説得したり、外に出ないように阻止するのは医療従事者など担当が決まっており、警備員は即座に無線で連絡するのが精いっぱいという。
提供されるマスクもごく普通のマスクで、特別高性能なわけではない。「マスクがちっちゃいねって言われることもある」。陽性者の突発的な行動によっては、リスクと背中合わせの仕事ではある。
一瞬の隙を突かれ、過去にはあってはならないことも起きてしまったという。
「逃げ出したやつがいた。もう大騒ぎだよ」