「彼らは犯罪者」在日ウクライナ人の叫び ロシアの侵攻で思い出す「三度許すまじ原爆を」
ロシアのウクライナ侵攻から3週間、両国は複数回の停戦交渉を行うも難航し、依然として収束の兆しが見えない。ウクライナの主要都市では無差別な攻撃がエスカレートし、一般市民の犠牲は増える一方となっている。プーチン大統領の暴走も指摘される中、いったい、どうすれば戦火は収まるのか。そしてロシアの侵攻がもたらす将来にわたる影響とは。オデッサ出身の数学者ウラディーミル・ミグダリスキーさん(京都情報大学院大学准教授)に聞いた。
「ひと世代超えないとこの溝は埋められない」
ロシアのウクライナ侵攻から3週間、両国は複数回の停戦交渉を行うも難航し、依然として収束の兆しが見えない。ウクライナの主要都市では無差別な攻撃がエスカレートし、一般市民の犠牲は増える一方となっている。プーチン大統領の暴走も指摘される中、いったい、どうすれば戦火は収まるのか。そしてロシアの侵攻がもたらす将来にわたる影響とは。オデッサ出身の数学者ウラディーミル・ミグダリスキーさん(京都情報大学院大学准教授)に聞いた。(取材・文=水沼一夫)
侵攻から短期間でウクライナを制圧できると見込んでいたロシアの思惑は外れ、ウクライナの徹底抗戦が続いている。ミグダリスキーさんは、「侵攻から数日以内で、キエフまで全部支配して自分たちの政権を作って、という計画はあったかもしれませんけど、それは計算違い。なぜならば、今私たちは空軍に対する防衛システムがちょっと弱いだけ。空爆されて被害が多いですけれども、フィールド、地上の戦いは負けていません」と言い切る。
断続的に行われる停戦交渉に、一縷(いちる)の望みはある。しかし、絶大な権力を持つプーチン大統領を止め、戦争を終わらせる手段はあるのだろうか。
ミグダリスキーさんは「2つのパターンしか見えない。1つ目は北朝鮮のように鉄のカーテンを張って、死ぬまで武器を振り回すような常軌を逸した存在として残る。2つ目は彼の身内の中で誰かが裏切ることです」と分析している。
特に可能性が高いのは後者という。ロシアの侵攻前、米国がウクライナよりも正確な情報を入手できたのは、「この計画に関わったトップの司令官の中の誰かが1人、この計画をアメリカに漏らした」と見ている。
「プーチンを抑えられるのは一番近くの司令官たちです。だって、彼らは完全にやっていることが分かっている。首都が落ちてもウクライナを支配することは現実的に不可能です。支配できないということも分かっている。彼らだけの力で、もしかしたら抑えられるかもしれない。身内しかできない」と続けた。
ただ、ロシアが侵攻を停止したとしても、残された戦争の跡は絶望的だ。
「単なる攻撃するという意味じゃなく、街をつぶされてかわいそうな人が山ほどいます。ロシア人とウクライナ人の間で、怒り、苦しみ、悪意の行為をされたことは簡単に消えない。消えるわけない。ひと世代超えないとこの溝を埋めれないです」と、影響が向こう数十年以上にわたって続くと訴えた。