在日ウクライナ人が語るゼレンスキー大統領の素顔 「彼は賢い」来日時に通訳を担当
ロシアによるウクライナ侵攻が長期化する中、プロの通訳者として活動する在日ウクライナ人も平常心を保つことが困難な状況に陥っている。オデッサ出身のウラディーミル・ミグダリスキーさん(京都情報大学院大学准教授)は2019年10月、ゼレンスキー大統領が来日した際、通訳を務めたが、「今は通訳をやらない。断っている」と話す。かつては打倒ナチス・ドイツを誓い、共闘した隣国の広範囲な進軍に、はかりしれない失望と怒りがこみ上げる。
来日中に見たゼレンスキー大統領の素顔「彼は賢い」
ロシアによるウクライナ侵攻が長期化する中、プロの通訳者として活動する在日ウクライナ人も平常心を保つことが困難な状況に陥っている。オデッサ出身のウラディーミル・ミグダリスキーさん(京都情報大学院大学准教授)は2019年10月、ゼレンスキー大統領が来日した際、通訳を務めたが、「今は通訳をやらない。断っている」と話す。かつては打倒ナチス・ドイツを誓い、共闘した隣国の広範囲な進軍に、はかりしれない失望と怒りがこみ上げる。(取材・文=水沼一夫)
在日23年のミグダリスキーさんは、ウクライナのポロシェンコ前大統領、ゼレンスキー大統領と2代にわたり、来日時に日本側の通訳を務めた。
ゼレンスキー大統領が来日したのは2019年10月だった。「彼が作った政権のトップの何人かと一緒にみんなで来たんですよ。団体で8名から10名ぐらいです」。ミグダリスキーさんは都内ホテルで行われたIT業界との会議で、2時間ほどゼレンスキー大統領と時間を共有した。交流の中で感じたのは、「彼は賢い」という印象だった。話題が専門的な分野に及んでも関心を持ち、「新しい技術など自分の知識範囲外のことでも一生懸命、理解しようとしていた」と、積極的に聞く耳を立てていたという。
世界ではコメディアン出身という異色の経歴がクローズアップされるが、ミグダリスキーさんの評価は異なる。
「彼は以前、法律学部を卒業していた。俳優やコメディアンとして自ら活躍すると同時に自分の劇団の経営者として成功した。コメディアンのチャンネルを作ってウクライナやロシアでも成功した。だから経営者としても優秀な人。血の流れとしてはユダヤ系のウクライナ人。彼のお父さんは数学者。ゼレンスキー大統領は知的な人で、ちゃんとIT関係のことを理解しようとしていた」と語る。ゼレンスキー大統領は東京滞在後、京都に移動し、市長との面会やキエフ国立バレエ学校の姉妹校である寺田バレエ・アートスクールと親睦を図る予定だったが、キャンセルとなった。「ゼレンスキー大統領が来るのをみんな待っていました」。残念ながら京都の名勝散策も実現しなかった。
ミグダリスキーさんは日本の大学で数学や統計学を教える一方で、長年要人の通訳やガイドを務めてきた。「通訳関係はずっとやってたんです。パンデミック前には結構ロシア人と会った。(趣味でもある)武道関係の通訳をいっぱいやりました」
しかし、ロシアのウクライナ侵攻で状況は一変した。