【RIZIN】「UFCとUWFをリンクさせる」“Uの子孫”山本空良の父・喧一会長が明かす野望
「今の格闘家は『歴史』を知らない」
――最近、RIZINと接点ができてきたわけですけど、ぶっちゃけ、どう見えていますか?
「(RIZINは)PRIDEが復活したなあみたいな。でも、ちょっと足りないものがあるよね。それを息子が持っているんじゃないかなと。だから息子の活躍によって、その足りないものが補われていくんじゃないかと思ってますけど」
――その足りないものというのは?
「今の格闘家は『歴史』を知らないんですよね。だからそこは少しだけ教えるというか、勉強したほうがいいかなあと思うこともある。『歴史』っていっても難しいことじゃなくて、もう少しでいいから、日本の総合格闘技の創世記に活躍した人にリスペクトを持とうよっていう感じですかね。だってそれが自分たちが今、食えている理由なわけですから」
――道を開いた先人の功績をスルーするなと。
「そうですね。だからウチの息子が活躍していけば、彼の立ち振る舞いによって、そうしたことに対する良いモデルケースになるかもしれない。ウチの息子はその辺はよくわかっていますから。先人がいたから今の自分があるって。それを僕は期待しているというか。RIZINだって、地上波でこうして中継していますけど、それがなかったら僕のように北海道にいる人間が開いているジムは閑古鳥が泣いていますよ。10年前に僕が北海道に来た時に、感覚的には格闘技に関しては20年遅れているなと思ったんです。だけど自分が根付くことで、10年後にはそれを30年遅れているじゃなく、5年でも10年でも短くしていけるか。そうしたら最近は中央で活躍できるような子がポロポロ育ってきたっていう感じですね」
――先ほど、会長が空良選手の「目標を高く設定している」と言われていましたけど、具体的には「世界」を目指していると。
「そうです。世界最高峰に行こうとしているから、今、目の前にある変な勝ち負けにはこだわっていないんです。内容にこだわっているんですよね」
――会長の意識下には、RIZINのベルトはもちろん、その先にBellatorやUFCのベルトも頭にあるわけですか?
「もちろん、そうですね。そのほうがよくないですか? 『“U”の遺伝子、世界へ行く』ってなったほうが(とニヤリ)」
――いつかラスベガスで是非、空良選手の勇姿を見たいですね!
「それがUWFに抱いていたファンの幻想に応えるための一番いい方法だと思っているので。やっぱりPRIDEは“U”だと思っているんですよ。Uインターの続きがPRIDEだと思っているんですよ。だから僕にとっては、ジャパニーズMMAは“U”なんですよ。そしたらジャパニーズMMAでチャンピオンを育てないことには、“U”が終わってしまう。だからここで、まだ中村(大介)くんが踏ん張ってくれたおかげでバトンタッチができるかもしれない。それから先、ウチの息子の年齢(21歳)を考えたら、楽しみじゃないですか。中村くんの年齢まで20年あるんですよ。そしたらRIZINの先にあるBellatorやUFCの頂に行ける可能性は十分、あると思いませんか?」
――十分すぎるくらいあると思います。
「だから、もしUFCのベルトをウチの息子が取るとか、達成した時に初めて、UWFのUとUFCのUがリンクするんですよ」
――“U”がリンクする!
「僕が昔、(1999年に)UFC-Jのベルトを取った時に、『これからUWFが終わって、UFCがはじまる』ってインタビューで言ったことがあるんですけど、それが具現化するんです。それを僕が現役時代にはできませんでしたけど、僕の思いがどこまで息子に受け継がれているのかは分からないまでも、それが受け継がれているからこそ、こうやって成長しているんだと思うんですよ。まあ、もちろん、まずはRIZINですけどね」